原油高騰...福島県内影響大 製品コスト増、クリーニング店ほか

 
ビニールで包装された衣類を見つめ、原油価格の高騰に頭を悩ませる菊田社長

 原油価格の高止まりが続く中、影響は意外な業種にも広がっている。新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷を追い打ちする事態に、苦境に立つ県内の関係者は悲鳴を上げる。

 生活に便利なクリーニング店。プラスチック製ハンガーや、衣類を包装するビニールなどの石油製品のコストが上がっている。「新型コロナ、最低賃金の大幅な引き上げもあり、トリプルパンチだ」。福島市で2店舗を経営するクリーンボーイ・キクタの菊田克己社長(51)は、厳しい経営環境に頭を悩ませる。

 ドライクリーニングに欠かせない石油系溶剤も値上がり中。乾燥機などの燃料となる灯油代、店舗と工場間の輸送にかかるガソリン代も経営を圧迫している。

 新型コロナの影響も大きく、ホテルや旅館、飲食店などからの受注が回復していない。本県の最低賃金は10月から28円引き上げられて時給828円に。人件費の増加も負担だ。

 菊田社長は「ワイシャツ1枚のクリーニング代は132円。本音は300円くらいにしたいが簡単に価格転嫁できない」と当面は価格を据え置く考え。「『Go To クリーニング』のような支援があったらいいのに」と皮肉交じりに話す。

 石油を原料とした化学繊維などで作られるカーテンや、壁紙などのインテリア。原料価格の上昇などを受け、大手メーカーの一部は取引価格の値上げに踏み切った。「原油高騰の影響はまだそこまで出ていないが、今後、インテリアなどの値上がりにつながる可能性がある」。いわき市植田町の吉田家具店の担当者は指摘する。

 原油高騰以前からメーカー側に値上げを模索する動きがあったといい、担当者は「輸送費や人件費など複数の要因がある」とみる。低価格帯の家具の輸入品を中心に値上げ傾向が続き、原油高騰が続けば、さらなる値上げが予想されるという。担当者は「買い控えの恐れがあり、家具業界は一層厳しくなる。購買意欲をいかにくすぐるか、努力を重ねるしかない」と話す。

 「夏に得た利益が燃料費に消えていってしまう」。川俣町の新たな特産品として注目されている花「アンスリウム」の花卉(かき)栽培を手掛ける安田秀吉さん(57)、幹さん(53)夫妻は、燃料価格の先行きを不安視する。

 熱帯地方が原産のアンスリウム。安田さん夫妻のビニールハウスでは、花の開花に適した15度の室温を保つため、自動で暖房機が稼働する仕組みになっている。昨年と比べ、燃料費は4割増となる見通しという。

 暖房機を効率的に稼働させるため、ハウス内にビニールを張り、4層構造にすることで室温を高く保てるようにするなど工夫を凝らす。秀吉さんは「クリスマスなどのイベント需要を見越して売り上げを確保したい。行政による燃料購入への補助制度などにも期待している」と今後を見据える。