最期の別れ、増える家族葬 遺族高齢化で負担軽減

 
樋口屋商店が福島市八島田にオープンした「香雲堂家族葬ホール福島」。家族葬専用で収容人数は30人と少ない

 新型コロナウイルスの感染拡大で、葬儀の形に変化が出てきている。参列者への配慮などから親戚や知人が集まる一般葬が減る一方、家族らに限定した家族葬が増加している。県内では葬儀をインターネットでライブ配信するサービスなども登場。家族の高齢化で葬儀の負担軽減を望むケースもあり、関係者は「コロナ禍で変化が加速した」と指摘する。

 「アットホームな空間で、最期の別れを落ち着いた気持ちで過ごしてもらいたい」。葬祭業を展開する樋口屋商店(国見町)の樋口卓弥社長(53)は今月、家族葬の需要に対応するため、福島市八島田に家族葬専用ホール「香雲堂家族葬ホール福島」をオープンさせた。

 移転した元福島銀行八島田支店の建物を改装したホールは、1日1組の貸し切りで、元々金庫だった場所を安置所に使うなどユニークな造りだが、収容人員は30人と少なめだ。同社では新型コロナウイルス感染拡大前、50~80人程度が参列する一般葬が葬儀の約8割を占め、家族葬は少数派だった。しかし、感染拡大とともに「参列者らに迷惑を掛けたくない」と家族葬を選ぶケースが急増した。今では約8割が家族葬を選んでいるという。

 同社は、火葬のみを行う「直葬」や告別式のみを1日で行う「1日葬」のプランも用意。樋口社長は「今後は家族の高齢化などの理由で葬儀日程を短縮するご家族も増えてくるだろう」と見通しを語る。

 全国的にも家族葬の割合は増加傾向だ。鎌倉新書(東京都)が運営する葬儀相談サイト「いい葬儀」が2013~20年に実施したインターネット調査によると、15年に31.3%だった家族葬の割合は20年に40.9%に増加。20年には初めて一般葬が半数を割ったという。

 郡山、須賀川両市で事業を行う「家族葬のみやび」(郡山市)では感染拡大前から家族葬への問い合わせが増えており、実際に執り行った数もコロナ前の約1.5倍に増加しているという。同社担当者は「葬儀の形は徐々に変化してきていたが、コロナでそれが加速したのではないか」とする。

 ほかにも変化の兆しがある。たまのや(福島市)は昨年7月、参列できない遠隔地の親族らに葬儀の様子をライブ配信するサービスの無料提供を始めた。利用者は月1件程度と需要が高いわけではないが、海外に住む親族向けに配信を希望するケースがあった。

 県内では今月、新型コロナの基本対策が改定され、県民に求めてきた飲食や移動などの行動制限が緩和された。同社は現在、感染対策として葬儀の会食などを控えているが、「今後は少しずつ葬儀場での会食などが再開できるようになれば」(担当者)と期待する。