家庭で負担なく呼吸数測定 会津大がプログラム開発

 

 会津大は、家庭で心電図を測れる携帯型の装置を使い、呼吸数を測定するプログラムを開発した。着目したのは心電図検査で検出される筋電図のデータ。携帯型の装置を使用することで患者の負担にならずに日常的に測定できる利点があり、睡眠時無呼吸症候群など呼吸器系の病気の早期発見や、新型コロナウイルス感染症患者の経過観察などで利用できるとしている。

 開発したのは生体医工学を専門とする朱欣上級准教授(44)。朱氏によると、睡眠時無呼吸症候群は不整脈や心不全につながる恐れがあり、早期発見には日々の呼吸数や心拍数を記録することが重要になるという。

 呼吸数を調べるには上半身に複数のベルトを巻き付けたり、鼻に装置を装着したりするが、いずれも医療機関を受診する必要がある上、患者の不快感などもあり、継続的に測定するのは難しいのが現状だ。新型コロナウイルス禍では使用後の消毒など装置の管理も課題になっている。

 朱氏は、心電図検査と同時に呼吸数を計測できれば課題解決につながると考え、筋電図に着目。心電図検査では「ノイズ」として取り除かれる筋電図のデータを抽出して、呼吸筋の動きから呼吸数を測定する。実験では、呼吸を止めると筋電図の波形も変化することを確認した。

 朱氏は胸に押し当てたり、胸に電極を貼り付けたりする携帯型の装置に機能を追加する形での製品化を想定している。「睡眠時無呼吸症候群の早期発見や新型コロナウイルスなどの感染症患者の健康観察だけでなく、1人暮らしの高齢者の安否確認などにも利用できる」と期待を込める。

 筋電図で呼吸数を測定するプログラムを開発したとして2016(平成28)年に特許を申請しており、取得後に製品化を目指す考えだ。朱氏は「筋電図での測定は、医療機関にある検査機器に比べて精度が低いものの、日常生活の中で使えるのが利点。異常を早期発見して医療機関を受診するきっかけをつくりたい」と話している。

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 筋電図 筋肉の収縮に伴って発生する電流を記録した図。心臓以外の筋肉が収縮することで心電図検査でも検出されるが、心電図検査に関係のない「ノイズ」として取り除かれる。検査を受ける人が緊張していたり、手足に力が入っていたりすると検出されやすくなる。筋電図検査は、筋ジストロフィーなど神経疾患の診断に使われている。