増える若者ハンター 福島県が狩猟免許取得後押し、作物被害へ対策

 
セミナーでわなの設置方法を学ぶ参加者ら。地道な活動が狩猟人口の増加につながり始めた

 農作物に被害を与える有害鳥獣駆除の担い手確保が課題となる中、県内で狩猟免許を取得する若者が少しずつ増え始めている。本県へのUターン者らが新たに免許を取得するケースなどが増え、高齢化で一線を退いた人の分を補う存在になりつつある。2020年度は4種ある狩猟免許の県内登録件数が東日本大震災前の水準まで回復した。取得を後押しする県は「少しずつ光が見えてきた」と手応えを感じている。

 県などによると、県内の狩猟者は、高齢化などによって年々減少が続いていた。11年の東京電力福島第1原発事故による避難や野生動物の出荷制限などが影響し、登録数は一時大きく減少したが、その後は徐々に増加。20年度は登録数が4020件となり、10年度以来となる4000件台に戻った。

 県内で野生動物による農作物被害などが相次ぐ中、狩猟者の育成に取り組んできたのが県だ。狩猟に使う縄などの道具購入費や初心者講習の受講料助成に乗り出し、13年からは免許の試験回数を年2回から5回に増やして取得機会を増やすなど地道な取り組みを進めてきた。同時に、セミナーなどを開催し、狩猟に対する理解やイメージの向上も進めてきた。

 その中で特に目立つのが若い世代の狩猟者だ。喜多方市役所で鳥獣被害対策などを取り組む専門員大西亮太さん(31)もその一人。約5年前、わなと銃の狩猟免許を取得した。免許取得のきっかけは趣味の登山や釣りで外出した際、イノシシやクマなどによる被害の声を聞くことが多かったからだ。

 個人的な興味と仕事に役立つのではないかと免許を取得。現在は地元猟友会に所属し、先輩たちから地域に合った捕獲方法や経験談に耳に傾ける。「狩猟は動物を懲らしめるものではない。増え過ぎた動物の数を調整しながら、人と動物が豊かに暮らしていける状況が理想」と大西さん。業務では電気柵の設置や畑の管理などにも携わっており、「地域の被害対策の一助になれば」と話す。

 県内で若い狩猟者が増え始めた状況に、県特定鳥獣保護管理計画検討委員会座長を務める東北芸術工科大の田口洋美教授は「地域のために狩猟免許を取得しようとする若者が多いのではないか」とし、「近年(山間部で)自然災害が多発したことをきっかけに、若い人たちの目が地域に向いているのでは」と指摘する。

 田口教授によると、新型コロナウイルス禍で人の屋外活動が減り、野生動物の生息圏と人の生活圏が近くなっているという。田口教授は「(人と野生動物のすみ分けに関わる)狩猟者が減れば、私たちの日常生活が崩壊する」とし、さらに狩猟者を育てる必要性があるとしている。