久保木畳店、畳の魅力「後世に」 須賀川に体験型複合施設整備へ

 
「畳の文化を後世に残したい」と体験型複合施設の計画を進める久保木さん

 須賀川市の久保木畳店が、同市で畳の魅力を発信する体験型複合施設「畳ビレッジ(仮称)」の整備に乗り出す。自社工場を改装し、オンラインの工場見学や畳を使った貸しスペースなど多彩な事業を展開する。2022年10月の開業を目指しており、計画を主導する専務の久保木史朗さん(34)は「後世に畳を残すため、畳の魅力を発信できる場にしたい」と意気込む。

 同店は江戸時代から約280年続く老舗の畳店。久保木さんは昨年から実家の店に戻り、日本伝統の畳を使ったコースターを米国で紹介するなど、畳の新たな可能性を追求してきた。しかし、国内でも住宅用など畳の需要は落ち込んでおり、市内でも畳店の閉業が相次ぐ。現状への危機感から「新しいことをしないと畳文化を残せない」と考えたのが、この施設だった。

 久保木さんが目指す施設は「地元の人から市外の人まで気軽に畳を体験できる空間」。施設には華道やヨガ、バーベキューなどのイベントや教室に幅広く活用できる貸しスペースを設けるほか、畳の素材を生かした小物類などを販売する。また、新型コロナウイルス禍の「新しい生活様式」に対応するためインターネット環境を整備し、畳の上でゆったりとテレワークできるカフェやオンライン配信を通じた工場見学、小物の製作教室事業などを展開する考えだ。

 施設整備に当たっては、鋳物や食器などの手工業者が手掛ける全国の体験型施設を視察してヒントを得た。須賀川商工会議所や学識者らとの意見交換のほか、会員制交流サイト(SNS)でも取り組みを積極的に発信して反応を取り入れている。

 そんな久保木さんが目を向けるのは、国内だけではない。久保木さんが情報を収集する中、海外に住む日本人も畳に懐かしさや愛着を持っていることを知ったという。「国内外に畳の魅力や日本文化を発信できる施設なら幅広いニーズに対応できる」。地元小学生らを対象に行ってきた工場見学などのノウハウを生かし、施設そのものとオンラインの両方で多彩な体験ができる施設にしたいという。

 来年10月1日の開業を目標に12月に詳細な設計を開始し、来年5月に自社工場の改装工事を始める計画だ。久保木さんは「いよいよ計画が現実味を帯びてきた。一歩一歩計画を具現化していきたい」と意欲を高めている。