インフル対策、まず予防接種 大原綜合病院副院長・鈴木重雄氏

 

 間もなくインフルエンザの流行期がやってくる。子どもを持つ親にとって心配なのは、わが子が感染したときだ。大原綜合病院小児科医の鈴木重雄副院長(61)にインフルエンザの特徴や予防法、自宅で看病する際のポイントを聞いた。(今泉桃佳)

 ―インフルエンザの主な症状、風邪との違いは。
 「一般的な風邪は鼻水やせきから始まり、2、3日後に発熱することが多い。一方、インフルエンザはそうした前触れがなく、急に39度を超える高熱が出るのが典型的な症状だ。関節痛や筋肉痛、鼻水などもみられる。ただ、新型コロナウイルス感染も含め、症状だけで判別することは難しい。医療機関ではいずれの可能性も考えて対応している」

 ―予防法は。
 「まずはワクチンを接種すること。子どもは集団生活を送る学校や幼稚園、保育所で感染する場合が多いため、特に接種した方がいい。現在、ワクチン供給が不足しており予約が取れない医療機関もあるが、年内の接種を勧めている。コロナ対策と同様にマスクの着用や手洗い、『3密』の回避、適度な加湿も有効だ。大人は体力低下時に感染しやすくなる。疲れを残さないことが大切だ」

 ―治療法は。
 「医療機関ではタミフルなどの治療薬が処方され、飲めば2、3日程度で熱が下がる。薬を飲まないと治らない病気ではなく、服用しなくても5日間ほどで自然に治る。高熱や元気がない状態がそれ以上続くようであれば、急性肺炎などを併発している疑いもあるので、再度、医療機関を受診してほしい」

 ―病院に行く目安は。
 「インフルエンザは発熱後すぐに検査をしても陰性と出ることが多い。発熱だけでなく、水分が取れているか、眠れているかなど全身の状態を見極めた上で受診してほしい。特に夜間はひきつけを起こしていたり、吐いているなどの場合を除き、発熱だけで慌てて病院に連れて行く必要はない」

 ―自宅での看病のポイントは。
 「治療薬が処方されていれば、それを飲ませて安静にし、脱水症状を避けるため水分を十分に取らせること。食欲がなくても、栄養はあまり考えなくて大丈夫。解熱剤は適宜使っていいが、体温が38・5度を超えたからといって必ず服用すべきものではない。苦しくて眠れなかったり、食べられないときに使ってほしい。眠っているのを起こして無理に飲ませる必要はない。手足の先が冷たいときは体を温め、温かくなってきたら本人が気持ち良いと感じる程度に冷やすといい。汗をかいてきたら、熱が下がってきた証拠だ」

 ―子どもで特に注意することは。
 「インフルエンザにかかった子どもが部屋から飛び出そうとするなど、異常行動を起こすことがある。特に幼児よりも体力のある小中学生が、発熱して1、2日目に起こしやすいとされる。子どもを一人にしないでほしい」

 今季流行に注意

 インフルエンザは例年12月から3月が流行シーズンだが、昨季は流行がみられなかった。日本感染症学会が9月に発表した「インフルエンザワクチン接種に関する考え方」によると、今季は、昨季に流行しなかったためにインフルエンザに対する社会全体の集団免疫が形成されていないと考えられ、海外からウイルスが持ち込まれれば「大きな流行を起こす可能性もある」という。

 同学会は昨季の要因について、新型コロナ対策でマスク着用や手洗いが徹底されたことに加え、一つのウイルスが非常に優位な時に他のウイルスが抑制される「ウイルス干渉」が起こった可能性もあると指摘。

 例年参考にされる南半球の今季の状況を見ると流行していないが、インドなどでは流行が認められたといい、「今後国境を越えた人の移動が再開されれば、世界中にウイルスが拡散される懸念がある」としている。

自宅での看病のポイント