なりすまし防止へあの手この手 薬局と連携「サギ・ザ・ブロック」

 
(写真上)薬袋に貼り付けてなりすまし詐欺への注意を呼び掛ける「サギ・ザ・ブロック」のシール=いわき南署(写真中)被害防止へチラシやマスクケースなどに活用されているイラスト=二本松署(写真下)なりすまし詐欺被害の年別推移

 県民の大切な財産をだまし取る「なりすまし詐欺」の今年の県内被害額は、11月末時点で1億8000万円を超えた。昨年は12月に14件の被害が集中しており、年末年始の被害防止へ県警は警戒を強める。被害をゼロにする特効薬はないが、県内各署は地域の防犯団体などと連携しながら、"あの手この手"で独自の対策を進めている。

いわき南署、袋に貼り注意喚起

 なりすまし詐欺被害の防止に、1日1回読んで効く―。いわき市のいわき南署といわき南地区防犯協会連合会が作った注意喚起シールは、その名も「サギ・ザ・ブロック」。調剤薬局と連携して薬袋にシールを貼り、高齢者らに注意を呼び掛ける試みだ。

 「いかに詐欺への関心を高め、被害防止につなげるか」と日夜頭をひねる同署生活安全課員たちは、多くの高齢者が病院を利用し、薬を受け取っていることに着目。シール名の参考にした「ベンザブロック」を製造販売するアリナミン製薬の了解を得て、かぜ薬を模したシールを製作した。

 高齢者らの関心を引き付けるためのユーモアは、シールの名称にとどまらない。なるべく空腹時を避け、声に出して1日1回、注意書きを読むのが用法・用量。「詐欺犯人撃退」の効能があり、「詐欺をミヤブレ~ル成分」「詐欺から市民を守りたいエキス」が配合されているという。

 シールが貼られた薬袋の配布は、いわき市のくすりのマルト調剤薬局上中田店で17日に始まる。さらに、より多くの高齢者にサギ・ザ・ブロックが届くよう、協力店舗を増やしていく計画。同署生活安全課の菅野将克課長(43)は「電話でお金の話を持ち出してくるのは詐欺だと、自信を持って見破れるよう、1日1回、サギ・ザ・ブロックを読んでほしい」と話す。

二本松署、チラシやマスクケースに中高生の絵

 二本松署は、二本松市の中学、高校生が参加する地域安全ヤングボランティア「リリーバーズ」の隊員が描いたイラストを活用して被害防止に取り組んでいる。若い世代の感性を生かし、親や祖父母の年代に防犯意識を広げたい考えだ。

 新型コロナ禍の影響で活動が制限された昨年から、若者の柔軟な発想力を生かしてメッセージカードを作成。鮮やかな色使いや「決めよう合言葉!」など分かりやすい絵と文言で被害防止を呼び掛ける。現在はチラシやポスター、マスクケースなどの啓発グッズにあしらわれ、各種団体の街頭活動などで活用されている。

未然防止前年比21件増

 県内の認知件数と被害額の推移は【グラフ】の通り。今年はいずれも前年を下回っているが、新手のオレオレ詐欺や還付金詐欺の被害が11月から続き、「引き続き注意が必要」(県警生活安全企画課)と気の抜けない状況だ。

 ただ未然防止(11月末時点)は100件、2228万円と前年同期より21件増加。詐欺に関する認知度が高まり、金融機関職員やコンビニエンスストア店員、家族が水際で気付き、被害を防げたケースが増えているという。

 同課の担当者は被害防止に向け、「家族内で小まめに連絡を取り合ってほしい」と訴える。