福島県水揚げ増、震災後最多4610トン 1~11月、本格操業へ増産

 

 本県沿岸漁業のことし1~11月の水揚げ量が4610トンに上り、昨年の年間水揚げ量(4591トン)を上回り東日本大震災後で最多となる見通しとなった。県が16日明らかにした。本県漁業は試験操業を終え、4月から本格操業に向けた移行期間に入っており、県は「(県内の)各漁協が計画的に増産を進めた結果、着実に増加している」とみている。

 水揚げ量の推移は【グラフ】の通り。各漁協とも試験操業の終了に伴い出漁回数を増やした。ヒラメやヤナギダコ、アンコウ、ヤリイカなどの漁獲が好調で、シラスも例年並みの量を確保。新型コロナウイルスの感染拡大による需要減の影響が続いたが、東京五輪後から回復がみられ、水揚げ金額(1~11月)も21億6500万円と、昨年の年間額(21億100万円)を上回っている。

 県などによると、県内3漁協のうち相馬双葉漁協は本格操業への移行に向けた計画で、沖合底引き網による水揚げ量を2024年に震災前の約6割まで回復させる数値目標を定めており、計画を上回る推移で水揚げ量を確保している。

 いわき市、小名浜機船底曳網の各漁協は数値目標の設定を検討中だが、着実に実績を上げているという。水揚げ量を極端に増やせば値崩れを起こす可能性もあり、県は「流通業者とも連携し、計画的に着実に増やしていくことが重要」(水産課)としている。

 一方、震災前の10年と比べると、水揚げ量は17.8%、金額は23.5%にとどまっている。県は漁業復興に向け、省力で水揚げ金額を拡大する「ふくしま型漁業」を掲げており、情報通信技術(ICT)など先端技術を活用した「スマート水産業」の導入などの取り組みを進めていく方針だ。流通や消費でも、県外の大型量販店で県産水産物を販売する「福島鮮魚便」の取り組みなどに力を入れていく。

 県によると、現在東京、埼玉、群馬、宮城の各都県の14店に「福島鮮魚便」の常設棚がある。東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出決定に伴う新たな風評が懸念される中、検査体制などを学んだ専属の販売員が店頭に立って買い物客の質問に答える体制を取っており、県産水産物の安全性や魅力の発信につながっているという。本年度からはさらに、震災後途絶えた西日本の販路回復に向け、愛知県の4店、大阪府の3店に販売棚を新設し、常設化を目指している。

 16日の12月定例県議会農林水産委員会で県が示した。