宴会シーズン...広がる飲食店支援 新型コロナ感染縮小の福島県

 
南会津町では15人以上の懇親会などで代金の4分の1を助成する補助事業が始まった。感染症予防の徹底と経済の活性化を両立する新たな試みが進む

 大人数での酒宴解禁や飲食代金の一部補助―。新型コロナウイルスの感染が落ち着く中、県内では自治体などによる飲食店支援の動きが広がる。感染拡大を受け自粛が相次いだ昨年とは一転、コロナ前の忘年会シーズンの様相に戻りつつあるものの、新たな変異株「オミクロン株」による感染拡大も懸念され、気の抜けない状況が続く。

 事業費の9割利用

 「予想以上の予約数だ」。15人以上の懇親会などで飲食店を利用した場合、代金の4分の1を助成する事業を始めた南会津町の担当者は驚く。6日の事業開始から1週間で、事業費の約9割が来年1月までに利用される見込みとなった。

 同事業で町は、感染対策が適切な町内の16店舗を指定。利用する団体は事前予約した上で当日、割引された飲食代金を支払う。町民以外の団体も補助の対象とし、時間帯や飲酒の有無を問わず、参加する子どもの人数も含めたことで予約が相次いだ。「総会や会合が全くなくなり、大変な状況だった。今回の補助事業は本当に助かる」。町内で旅館業などを手掛ける60代の社長は、期待を込めながら受け入れ準備を進める。

 県内では食事券や商品券による支援も広がる。郡山市の「郡山美味(おい)しい街づくり推進協議会」はクラウドファンディングの参加者に対し、支援額に20%を上乗せしたプレミアム付き食事券を贈る。募集開始から約2週間で目標額の500万円に達し、市民の期待は高い。事務局を務める郡山商工会議所の担当者は「飲食店は疲弊している。感染対策を徹底した上で食事券を利用し、地域経済の活性化に貢献してもらえれば」と話している。

 懸念はオミクロン株

 ただ、酒宴に水を差すのがオミクロン株だ。今月から大人数での酒宴を解禁した福島市と福島商工会議所。「キックオフ会」と銘打った2日の酒宴には20人が出席し、歓談する際はマスクを着用するなど忘・新年会のモデルを実践したが、担当者は「安全確保が最優先。感染状況を見極めながら、夜の街に立ち寄ってもらうしかない」と頭を悩ませる。

 飲食代金の一部補助に取り組む南会津町も心配は尽きない。同町では1~2月に高齢者施設でクラスター(感染者集団)が発生した経緯があり、同事業には一部町民から「この時期に大丈夫なのか」と疑問視する声もある。利用者全員の体調や店舗の感染対策などを店と利用者が相互にチェックする体制を組んでいるものの、国内の感染状況次第では同事業を中止する構えだ。

 「正直なところ、県内で陽性者が出るたびに心臓が痛い。地域経済のために今できる施策を進めるしかない」。町担当者の言葉に、感染防止と地域経済の再生のはざまで続く葛藤の思いがにじんだ。