安全な遊び場親子らに提供 「ペップキッズこおりやま」開館10周年

 

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を機に、子どもたちが安心して遊べる環境を確保しようと、郡山市に開設された屋内遊び場「ペップキッズこおりやま」が23日、開館10周年を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大前は年間約30万人が利用していたが、現在は感染防止のため人数を制限している。原発事故後、安全な遊び場としての役目を果たしてきた施設は、コロナ禍でも親子にとって大切な場所であり続ける。

 放射線を心配

 「はい、ペップキッズこおりやまです。○日の○時ですと案内できます」。施設を運営する認定NPO法人郡山ペップ子育てネットワークの事務所では予約の電話がひっきりなしに鳴り響く。市川守事務局長(69)は「コロナ禍でも体を動かしてストレスを発散したい子どもがおり、震災後の状況と似ている」と指摘する。

 施設は、放射線の影響を心配して屋外で遊ぶことができない子どもたちの心身の健康を守ろうと、ヨークベニマル(郡山市)の協力で2011(平成23)年12月23日に開館した。滑り台やトランポリンなどを完備しているほか、子どもの遊びを支援するプレイリーダーが8~10人常駐し"上質な遊び"を提供している。

 郡山市の鈴木真寿美さん(30)は息子の結翔ちゃん(3)と瑠人ちゃん(1)が遊び回る姿に目を細め「家ではできないことが自由にできる。ほかの保護者と友達になれるのでありがたい」と信頼を寄せる。

 高い肥満出現率

 同法人理事長で小児科専門医を務める菊池信太郎氏(51)は「(新型コロナの)感染防止はもちろん大事だが、子どもが体をつくる場面や遊ぶ権利を奪ってはいけない」と説明。「(原発事故から)10年が経過しても、子どもの心身の健康づくりを果たす役割は一貫して変わらない」と続けた。

 文部科学省が7月に公表した20年度学校保健統計調査結果では、肥満傾向にある本県の子どもの出現率が5~17歳で全国平均を上回った。原発事故前から全国平均より肥満傾向の子どもの出現率が高かったが、屋外活動が制限された影響などで割合が増した。

 体使う楽しさを

 菊池氏は「肥満傾向は改善されておらず、今も原発事故の影響を引きずっている」と強調する。さらにスマートフォンやゲームに依存する子どももおり、運動不足などが危惧される状況下で、施設の役割はますます大きくなっているという。「体を使って遊ぶことの楽しさを教える場を提供するのが、大人や地域の責任だ」と施設の意義を強調した。施設は当初、5年間の開館予定だったが、需要に応え現在は期限を設けていない。運営費は市の委託金のほか、企業や個人の寄付金で賄われている。