十両から3年、弟追い努力実った 若元春新入幕、地道に稽古

 

 念願の幕内昇進だ。大相撲初場所(来年1月9日初日・両国国技館)で新入幕が決まった若元春(学法福島高卒、荒汐部屋)は「思ったような相撲が取れない中で地道に力をつけた」と稽古に励み、十両昇進から3年で兄弟幕内を実現させた。

 「何とかここまで上がってこられた」。3兄弟の中で一番体格が良く、期待も大きかっただけに、幕内昇進の知らせに若元春が見せたのは安堵(あんど)の表情だった。2019年春場所に新十両となったものの足踏みし、同部屋の弟若隆景(東洋大卒)に続く幕内昇進はなかなか実現しなかった。思うような相撲が取れない中、徹底してきたのが基本の四股やすり足だった。もう一度基本を見直すことで、得意の左四つを組めない時にも下がらず前に出る取組が増え、白星を増やした。荒汐親方(元幕内蒼国来)も「この1年は毎日のようにすり足や四股に取り組んでいた。足腰に力がつき、上半身で取る相撲から足で取る相撲になった」と成長を評価。「幕内まで長かったけれど弟の番付を超えるよう努力を続けることが大事。稽古場からきちっとやってもらいたい」と期待を込めた。

 もう一つの好成績の要因が新たな家族の存在だ。昨年11月22日の「いい夫婦の日」に一般女性との婚姻届を提出。食事などの面で支えてもらっていることを明かし、「体重が増えたのも妻のおかげ。周囲から結婚して成績が伸びて良かったねと言われます」と目尻を下げる。幕内の土俵には「不安がほぼ8割」と本音も漏れるが、「幕内でも、大きい相手に気持ちで負けて後ろに下がる相撲は取らないように心掛けたい」と意気込む。

 「一番一番大切に」

 ―幕内の相撲について。
 「幕内では体が大きい方ではないので通用するか不安。楽しみよりも一番一番大切に相撲を取りたい」

 ―対戦したい相手。
 「親友の阿炎と対戦したい。あとは横綱ともやりたい」

 ―地元福島も喜んでいる。
 「地元の応援は大きい。3兄弟の後援会もあるので負けられない」

 ―兄弟幕内となった。弟の若隆景は前頭筆頭で三役が狙える格好だ。
 「弟の背中を見てきた。追い抜けるように頑張りたい」

 ―初場所の目標は。
 「自分の力を出し切れればいい。具体的な数字を出すと気負ってしまうので。いい成績を残せたら」

 父政志さん「敢闘賞目指して」

 若元春の幕内昇進に福島市の両親や県内関係者からも期待の声が上がった。

 「初場所で2桁勝利を挙げ、敢闘賞を目指してほしい」。福島市の飲食店「ちゃんこ若葉山」を経営する父大波政志さん(54)はエールを送る。政志さんによると、若元春は幼少期から運動神経が良く、3兄弟の中で最も相撲の素質があったという。政志さんは「県民の方からの応援を力にして、初場所ではどんな力士が相手でも自分の相撲を貫いてほしい」と力を込めた。

 若元春が所属した学法福島高相撲部では、後輩たちが先輩の快挙を喜んだ。次期部長の阿部佑磨さん(16)=1年=は「さらに上を目指し、横綱まで行ってほしい。若元春関と(同じく同部出身の)若隆景関の2人を目標に自分も頑張りたい」と声を弾ませた。若元春らを指導した二瓶顕人監督(36)は「いろいろな苦難があったと思うが、乗り越える努力をして着実に力をつけた結果だと思う。これからも先場所のようないい相撲を取ってほしい」との言葉を贈った。

 「大波三兄弟福島後援会」の渡辺博美会長(75)=福島商工会議所会頭=は「正面からぶつかる相撲を取り、目の肥えたファンに評価される力士になってほしい」と期待を寄せた。