コロナ禍で木材高騰...福島県産材の供給体制強化 いわき森林組合

 
4月から森林組合に転職し現場で働く斎藤さん(右)。ウッドショックを契機に人員強化や流通整備の動きがみられる=いわき市

 新型コロナウイルス禍で起きた世界的な木材価格の高騰「ウッドショック」が、林業関連の幅広い産業に影響を与えている。外国産材に代わり国産材の需要が高まっているものの、供給体制が整えられておらず、十分に対応できていないのが現状だ。県内最大の森林面積を有するいわき市では、この機に地元森林組合が木材供給の体制強化に乗り出した。

 構造的な問題

 「国産材が欲しいと言われても、流通する仕組みが出来上がっていない」。いわき市森林組合長で県森林組合連合会長も務める田子英司氏(66)は、相次いで寄せられる木材を求める声に応えられない苦境を明かす。伐採から製材、市場流通に至るまで、現場を担う人材が圧倒的に不足している。

 背景には、国内の林業業界が抱えてきた構造的な問題がある。戦時中の乱伐が原因で、戦後の復興期に木材が足りなくなった。その時、関税を撤廃して輸入木材に頼ったため、国内の木材流通の仕組みは外国産材中心に取って代わった。

 県によると、外国材の流通不足により、県内の木材市場価格は今年3月ごろから製材済み木材を中心に値上がりした。11月の代表的なスギの製材品目の平均価格は1立方メートル当たり約13万3000円で、前年同月の倍以上となった。県は、木材関連業者の代表らと対策を協議したが、「いつまで影響が続くのか見通せず、対応が難しい」とする。

 需要への対応

 関係者間の情報共有の在り方も課題として浮き彫りになった。いわき市などでは、民有林所有者の多くが小規模な森林を財産として所有している。まとまった現金が欲しい場合に突発的な伐採が行われるが、その情報が製材所や市場と共有されていないため、住宅建築などのニーズがあっても応えられない場合が多い。

 これまでは国産木材の価格が低迷していたため、長期間にわたり放置されている森林も多い。所有者が亡くなり、山林所有の境界線が分からなくなった事例も各地で確認されている。田子氏は、国産材が求められている現状を好機とし「今こそ安定的なサプライチェーン(供給網)を構築しなければならない」と訴える。

 システム構築

 組合は来年度、ネットワーク上の「クラウド技術」を使い、木材の流通情報を関係者間で共有するシステムの構築に着手する。行政の支援も取り付け、木材量などの測量データの把握にも努める。計画的な供給で価格を抑え、需要に的確に応じる体制を整える構えだ。

 高卒や異業種からの採用など人員強化にも取り組む。4月に小売業界から転職した斎藤康裕さん(39)は「経験を積み効率的な仕事ができるようになりたい」と奮闘する。来年度からは、整備中の研修施設・林業アカデミー(郡山市)で若者の研修が始まる見込みで、県全体で担い手育成が進む。

 変革に向け岐路に立つ林業業界。「関係者の収入確保を含め、林業発展に向けた確かな仕組みが必要だ」。田子氏は未来を見据えた。(いわき支社・大内義貴)

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 ウッドショック 新型コロナウイルス禍からの経済回復が進む米国や中国で木材需要が増加したことに伴う、木材価格の高騰と供給不足を指す。国際的な需要増に、輸送コンテナの不足により国内供給の大半を占めていた輸入材が入手困難になったことも重なり、林業や住宅業界に深刻な影響を与えている。かつてのオイルショックになぞらえて名付けられた。