福島駅前商店街「最後の年末」 来春から再開発着手、新天地へ決意

 
(写真上)のれんを見詰め「新たな場所で創業100年を目指して頑張りたい」と決意を新たにする鮨長の三村社長(写真下)「魅力のある街になってほしい」と駅前再開発に期待を寄せる大野屋の塚原社長

 福島市のJR福島駅東口の駅前再開発が来年度から本格的に動きだす。再開発エリアにある建物の解体を控え、来春ごろから約60の店舗や事業所の移転が慌ただしく進む見通し。長年にわたり県都の中心部で商売を営んできた店舗は慣れ親しんだ現在の駅前通り商店街で"最後の年末"を過ごし、新天地での船出に向けて決意を新たにする。

 「さみしい気持ちはあるが、再開発には納得している」。老舗すし店「鮨長」は1938(昭和13)年に創業した地を離れ、来年3月に別の店舗があった市街地のパセオ通りに移る。3代目の三村貴之社長(48)は、生まれ育った駅前通りでの思い出を回顧する。

 かつては周辺に山田百貨店や長崎屋福島店、コルニエツタヤといった商業施設があったが、次々に撤退。昨年8月には長年、駅東口のシンボルだった中合福島店が閉店した。「このままでは寂れていくだけだった」。福島の玄関口が生まれ変わる再開発の計画に賛成し、地権者でつくる再開発の組合側に土地を売却した。

 鮨長は、親交のあった昭和歌謡を代表する歌手島倉千代子さんが何度も訪れた店でもある。三村社長は9月に脳出血を発症し、入院や療養で約2カ月の休業を余儀なくされたが、現在は営業を再開した。「移転先では自分の命が続く限り頑張り、創業100年を目指したい」と力を込める。

 鮨長に近い化粧品店「スキンケアハウス大野屋」は来年3月ごろ、福島駅隣接の商業施設に移転する。2026年に再開発ビルが完成すれば、地権者として入居するため、駅前通りとはしばしの別れとなる。店を経営する大野屋(福島市)の塚原悠介社長(35)は「人が集まり、ワクワクするような駅前になってほしい」と願う。

 先代社長の父洋一さんは再開発の準備組合で理事長を務めたが、昨年4月に71歳で病に倒れた。塚原社長は父が再開発について期待を膨らませていた姿を脳裏に浮かべながら、「駅前の一等地に建物を造るのがゴールではない。その中に魅力的なお店が入り、地元の人が福島の街に誇りを持てるようになれば」と思い描く。

 クリスマスを迎えた25日の駅前通りは、家族連れやカップルたちでにぎわいを見せた。建物の解体などは、早ければ来春にも少しずつ始まる予定だ。

 複合棟は26年開業予定

 再開発は中合福島店が入っていた辰巳屋ビルや平和ビル、その周辺の個人商店などを含む約2ヘクタールが範囲となり、建物解体後に3棟の再開発ビルが建設される。

 このうち、中核となる複合棟は地上12階建て(高さ約59メートル)で、商業施設やホテル、市の大ホール、オフィスなどが入る。解体を含む工事着手は来年度、オープンは2026年の予定。地権者でつくる再開発組合は現在、商業施設やホテルを運営する事業者と交渉を進めている。