「賠償基準」22年策定へ 処理水行動計画、業種別に円滑支払い

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、政府が28日に決定した行動計画には風評被害が生じる事態に備え、来年中に業種別の賠償基準をまとめるよう東電を指導する方針が明記された。放出による新たな風評で、各種事業者に損害があった際に賠償金の円滑な支払いにつなげる狙いがある。

 計画では東電による賠償基準の策定に向け、まずは漁業、農林業、商工観光業といった業種別の賠償方針を具体化する。それを踏まえ▽どの時期と比べて風評被害の有無を判断するか▽どの統計データを参照して損害額を算定するか―などの調整を進める。

 東電は8月に示した損害賠償の枠組み案で、本格操業の再開に至っていない本県漁業者らについては、現行の賠償額の算定方法と請求の仕組みを続ける一方、農林業者や商工観光業者らへの風評被害が発生した場合は業種や地域、期間を限定せずに賠償するとした。

 しかし、これまで東電の賠償対応を巡っては、請求する被害者に損害を立証する負担がのしかかっていた上、損害額の確定に時間がかかり、関係者の不満が強かった。

 このため、損害額の算定に用いる統計データや基準とする時期を明確にしておくことで、被害者の負担を抑えたい考えだ。

 東電の小早川智明社長は同日、首相官邸で開かれた関係閣僚会議に出席後、福島民友新聞社などの取材に「まずは風評が起こらないよう細心の注意を払ったオペレーション(実務)をする」と前置きした上で「風評被害が生じる場合には適切に賠償できるような仕組みも整えていく」と述べた。