思い出の写真が動きだす 卒業アルバムにAR、伊達の光陽スタジオ

 
AR専用に撮影された写真にスマホのカメラをかざすと音が流れ、動画が再生される仕組みだ

 伊達市の写真館「光陽スタジオ」は来年から、写真が動きだす卒業アルバムの作製に乗り出す。「拡張現実(AR)」技術を活用した県内初の取り組みで、スマートフォンで写真を読み込むと、アルバムに収められている学校行事などの様子が動画で再生される仕組みだ。ARは写真館業界で注目の技術だ。社長の馬場裕隆さんは(63)は「新型コロナウイルス下で行事が限られている中、技術を活用してより良い思い出を残していきたい」と話す。

 馬場さんが新たな卒業アルバムを考えたきっかけは、新型コロナの影響だ。「修学旅行がなくなるなど、子どもたちの思い出が奪われている。何かできることはないだろうか」。新型コロナ下で学校行事が縮小や中止される状況を撮影現場で見るたび、その思いが強くなっていった。

 馬場さんは元県写真館協会長で、現在は日本写真館協会の副理事長を務めている。同業の知り合いと情報交換する中で、卒業アルバムにAR技術の活用を思い付いたという。

 ARを体験するには、スマホで専用アプリをダウンロードすることが必要だ。ARマークの付いた卒業アルバムの写真に、スマホのカメラをかざすと音が流れ、動画が再生される。

 取り組みの背景には、写真館業界を巡る変化もある。首都圏の写真スタジオでは安さを売りとする新規参入が相次ぎ、価格競争が激化している。既存の写真館は質の高いアルバムを作ることで競争を勝ち抜かなければならない。

 馬場さんは来年から、新たな卒業アルバムを提案していく考え。「価格以上に、アルバムを手にした子どもたちや家族が喜ぶよう、写真の質や内容を充実させていく」と意気込みを語る。

 仕掛けの一つとして、個人写真のページに園児や児童生徒の一人一人のメッセージ動画を添付する構想も馬場さんは抱いている。

 ただ、撮影時間が長く、価格も上がるため関係者の理解は不可欠だ。「学校や保護者の協力があってこそ、挑戦できる。AR技術を使い、何度も見返してもらえるような、より良い卒業アルバムを作っていきたい」。馬場さんは決意を語る。

 問い合わせは光陽スタジオ(電話024・575・3480)へ。

 ディスクに写真データ

 近年の卒業アルバムは、従来通りの印刷した写真のほかに、入りきらない写真は、データをディスクに入れて付属している。パソコンなどで写真を楽しんでもらうためだ。また、写真データを外部のデータ保管場所で管理しているものもある。パスワードやIDを与えられた卒業生らが、ネットワーク経由のクラウドでアルバム写真を楽しむことができる。