新型コロナに東京五輪、復興...福島県政この1年

 
県内で初めて行われた医療従事者への新型コロナウイルスのワクチン接種=3月4日

 新たな変異株「オミクロン株」への懸念など、新型コロナウイルス感染症は収束の兆しを見せぬまま、2021年は幕を閉じる。1年延期された東京五輪・パラリンピックは本県でも無観客開催を余儀なくされるなど、昨年に続き新型コロナに翻弄(ほんろう)された1年だった。そんな中でも相馬福島道路の全線開通など、復興に向けた歩みは着実に前進している。今年の県政を振り返る。

 新型コロナ、県内でも猛威

 新型コロナウイルスは変異株の影響などもあって県内でも猛威を振るった。4月の感染者は過去最多の803人を数え、その後も拡大した。5月14日には内堀雅雄知事が「非常事態宣言」を発令し、酒類を提供する飲食店に営業時間の短縮を要請した。(4月29日ほか)

 夏に感染流行の「第5波」が到来し、8月6日には本県が「まん延防止等重点措置」の適用地域に追加され、いわき市などで重点措置が実施された。現在は落ち着きつつあるものの、県などは「第6波」に備え医療提供体制の強化を進めている。

 飲食店などに協力金

 県は、特措法に基づく営業自粛要請に応じた飲食店や「まん延防止等重点措置」が適用されたいわき、郡山、福島3市の大規模施設を対象に協力金を支給した。外出自粛によって売り上げが減少した中小事業者には一時金を支払うなど各種支援策を展開した。(1月12日ほか)

 観光支援では、1泊5000円以上の宿泊に、宿泊額に応じて2500~1万円を補助する事業を実施した。宿泊者には、地元の土産物店などで使える2000円分のクーポンも配り、関連産業の景気回復を支えた。

 飲食需要喚起策としては、感染防止対策を講じている認定店で使える電子食事券を販売。県産酒の消費拡大として県産酒購入時に使えるクーポン券を配布した。

 ワクチン接種を推奨

 新型コロナのワクチン接種は3月4日に医療従事者向けから始まった。4月12日から65歳以上の高齢者を対象に行われ、その後、一般向けに拡大した。(3月4日ほか)

 県は「ワクチン未接種者は感染リスクが高いと考えられる」として、接種を推奨している。福島市などは12月から医療従事者向けの3回目接種を行っている。県は「ワクチン・検査パッケージ」の活用に伴い健康上の理由などからワクチンを打てない人の検査体制の整備も進めている。

 2月に本県沖地震、3市町で震度6強

 本県沖を震源とした地震が発生し国見、相馬、新地の3市町で最大震度6強を観測、県内に大きな被害をもたらした。(2月13日ほか)

 今月14日時点で関連死を含む死者2人が確認されているほか、5人が重傷で住家215棟が全壊した。半壊は3175棟、一部損壊は2万297棟に上る。

 東京電力福島第1原発では、3号機の原子炉建屋内に設置されていた2基の地震計が、故障していたにもかかわらず修理などの対応が取られず放置されていたことが分かった。

 あづまで五輪野球、ソフト

 東京五輪野球・ソフトボール競技の予選があづま球場(福島市)で行われ、ソフトボールは6試合、野球は1試合が行われた。新型コロナの影響で無観客開催となったが、各国選手は「復興五輪」を体現するかのように福島で躍動し、被災地に新たなレガシー(遺産)を刻んだ。(7月21日ほか)

 ソフトボールは、日本が2試合に臨んだ。初戦のオーストラリアをコールドで下し、続くメキシコ戦では延長八回タイブレークの熱戦を制して2連勝、連覇に弾みを付けた。

 野球は日本―ドミニカ共和国戦が行われ、日本は九回裏に2点差をはね返してサヨナラ勝ち。正式競技になった1992年バルセロナ五輪から6度目の出場で、悲願達成へ勢いに乗った。

 Jヴィレッジからリレー

 東京五輪の聖火リレーが新型コロナの感染拡大による1年間の延期を経て、本県復興のシンボルのJヴィレッジから始まった。約1万人のランナーが121日間をかけて希望のともしびをつなぎ、開会式が行われた7月23日に東京・国立競技場の聖火台にともされた。(3月25日ほか)

 第1走者は東日本大震災が発生した2011年のサッカー女子ワールドカップドイツ大会を制した「なでしこジャパン」の選手らが務めた。県内では3日間の日程でリレーが行われ、県内26市町村(265区間、51.71キロ)でランナーが聖火をつないだ。感染対策として、沿道では密集しないよう呼び掛けられ、県民は拍手などでランナーを後押しした。

 復興拠点外、20年代帰還へ

 原発事故による帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域について、政府が2020年代のうちに全ての希望者が帰還できるよう避難指示を解除する方針を決定した。(8月31日)

 拠点外の方向性が示され「一歩前進した」とみる向きがある一方で、帰還する意向のない住民の土地や家屋の取り扱いなど課題も残っている。各町村の復興拠点でも、22~23年春ごろの避難指示解除に向けた準備宿泊が一部始まった。

 避難地域を巡っては、浪江町が10月、県内初の震災遺構「請戸小」を開館した。11月には請戸漁港の復旧工事が完了し、震災で被災した本県沿岸の漁港10カ所全てが復旧した。

 米国、食品の輸入規制撤廃

 米国が原発事故後続けていた日本産食品の輸入規制を撤廃した。市場規模が大きく、他国・地域への影響力も強い米国の規制撤廃により、風評払拭(ふっしょく)や県産農産物の輸出拡大が期待される。(9月21日)

 規制撤廃を受け、県はコメを主軸とした輸出品目の拡大に乗り出し、12月には撤廃後初めて、会津産のコメが輸出された。日本産食品の輸入規制を巡っては、欧州連合(EU)も10月に規制を緩和し、県産食品の一部で検査証明書が不要になった。英国も規制撤廃の方向で手続きを進めるなどの動きがみられた。輸入規制は原発事故後に55カ国・地域が導入し、現在も14カ国・地域が続けている。

 国際教育拠点に法人新設方針

 政府が浜通りに整備を計画する国際教育研究拠点の運営組織について、首相と関係5閣僚が共同で所管する法人を新設する方針を決めた。(11月26日)

 福島復興再生特別措置法に基づく特殊法人と位置付け、本県知事による運営への関与を明記。本県復興に貢献するよう、多分野を横断的に研究する枠組みにする。

 研究分野には▽ロボット▽農林水産業▽エネルギー・脱炭素▽放射線科学・創薬医療▽東京電力福島第1原発事故に関するデータや知見の集積・発信―を挙げ、「世界に冠たる拠点」となるよう、基本構想の策定を進めている。

 拠点の立地場所については、県が今後、研究テーマや必要な施設・設備など政府の検討状況に合わせ、調整を進めていく方針だ。

 相馬福島道路全線開通、産業活性化に期待

 国土交通省が「復興支援道路」として整備を進めてきた東北中央道「相馬福島道路」が全線開通した。相馬地方と県北地方を結び、東北道を経由して山形県につながる交通網が誕生、相馬港周辺の産業活性化や安定した救急医療の提供に貢献している。(4月24日)

 同省が行った交通量計測では、6月は1日当たり4900台、10月は5400台と増加傾向を示した。同省は結果を受け「道路開通の効果が出ている」と評価している。相馬福島道路を巡っては、当初3月末の全線開通を予定していたが、2月の本県沖地震で橋に損傷が見つかり延期された。

 来年秋ごろに只見線の不通区間再開

 新潟・福島豪雨で不通となっているJR只見線会津川口―只見間(27.6キロ)の運転再開が来年秋ごろになる見通しとなった。11年ぶりの全線再開通の時期が秋冬の観光シーズンに重なり、観光誘客の起爆剤として期待が高まる。(11月30日ほか)

 JR東日本による復旧工事が来年夏ごろに完了する見込みで、試運転を踏まえて再開通の時期が示された。只見線を巡っては、橋やトンネルが「土木遺産」として認定を受け、奥会津の只見柳津県立自然公園は越後三山只見国定公園に編入され、観光資源としての魅力が深まった。県や周辺自治体は沿線の活性化へ取り組みを加速させる。

 県産酒8回連続金賞「日本一」

 2020酒造年度(20年7月~21年6月)に製造された日本酒の出来栄えを競う「全国新酒鑑評会」で、本県は長野県と並んで最多となる17銘柄で金賞を獲得した。金賞受賞数「日本一」は、金賞の選定を見送った19酒造年度を挟み8回連続となった。(5月21日)

 19酒造年度は、新型コロナの影響で最終審査が中止となっており、金賞の選定は2年ぶり。本県の日本一は通算10度目で、史上最多の8回連続に記録を伸ばし、醸造王国の品質の高さを全国にアピールした。

 県産米「福、笑い」販売

 コロナ禍による中食・外食の需要減などから2021年産米の価格が大幅に下落し、農家を苦しめた。一方で10月には新たなトップブランド米「福、笑い」の本格販売が始まり、県産米の消費拡大や価格上昇に向け明るい兆しもみられた。(10月28日ほか)

 県内では21年産主食用米の生産について過去最大規模となる4500ヘクタールの削減を達成したが、在庫過剰から米価下落を余儀なくされた。22年産も大幅削減を強いられる見通しで、農家の意欲低下を招かないための支援策が求められている。

 「福、笑い」は県が14年かけて開発した高価格帯米。県内や首都圏で販売が始まって以降、高い品質や食味が好評を得ており、県産米のブランド力向上のけん引役として期待されている。

 県立高校改革、新たに2校誕生

 県立高校改革の一環で小名浜海星高と喜多方高が誕生し、開校式を行った。(4月9日)

 小名浜といわき海星が統合した小名浜海星高は、普通科と商業科が各1学級、水産科3学級の計5学級が設けられた。喜多方高は喜多方と喜多方東が統合。県立高の普通科で先駆けて履修科目を自由に選択できる「単位制」を導入した。

 来年はさらに統合・再編が進み、須賀川と長沼の須賀川創英館、相馬東と新地の相馬総合、大沼と坂下の会津西陵、湯本と遠野のいわき湯本、保原・定時制と福島中央のふくしま新世の計5校が開校する。

 衆院選、全選挙区で一騎打ち

 解散から投開票まで戦後最短の17日という中で行われた第49回衆院選。県内5小選挙区では立憲民主党が3勝、自民が2勝という結果となった。(10月31日)

 全ての選挙区で自民対野党統一候補による一騎打ちとなった。小選挙区で敗れた候補も自民3人、立民1人が重複立候補した比例東北で議席を獲得し、小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、2005、12年と並び最多タイとなる9人の衆院議員が誕生した。