医療費減免見直し慎重に 処理水の風評対策一丸 西銘復興相に聞く

 
避難者向けの医療費などの減免措置について「(見直しが)見切り発車の形になってはいけない」と語る西銘復興相

 西銘(にしめ)恒三郎復興相は新年に当たり、福島民友新聞社のインタビューに応じた。東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た12市町村の被災者を対象に、医療費や介護などの保険料を免除する特例措置に関し「(制度の見直しが)見切り発車のような形になってはいけないというのが基本的な考えだ」と述べた。政府は早ければ2023年度から段階的な縮小を検討しているが、西銘氏は地元の意見を聞いた上で、導入の可否を慎重に見極める考えを示した。(聞き手 編集局長・小野広司)

 ―福島は3月で東日本大震災と原発事故から丸11年を迎える。福島の復興の姿をどのように思い描くか。
 「廃炉は何年かかろうともやり遂げなければならない。原発事故の被災地の復興は本当にこれからだと肌身で感じており、徹底的に現場の声を聞いて被災地に寄り添って取り組んでいく以外にないと思う」

 ―医療費や介護などの保険料の減免措置は原発事故の避難者が古里に思いをつなぐしるべになっているのが現実だ。減免措置の縮小、打ち切りは妥当なのか。
 「期日が来たから即、減免措置が切れるというイメージを私は持っていない。個別の状況に違いはあるかもしれないが、公平性の観点から(影響を抑える)激変緩和措置と周知期間を十二分に置く。(12市町村の)首長や地域住民の理解を得られないと(進められず)、厚生労働省と話し合い、非常に丁寧に対応しないといけない。見切り発車のような形でやってはいけないというのが基本的な考えだ」

 ―第1原発の処理水の海洋放出方針を巡り、政府の風評対策を束ねる立場からどのように取り組むか。
 「政府一丸となり徹底的に風評払拭(ふっしょく)に取り組む。国際原子力機関(IAEA)の協力も得て、科学的根拠に基づくデータを国内外を問わず発信していく。水産業の風評対策に充てる基金は300億円の予算を準備したとはいえ、一人一人に説明するぐらいのきめ細やかな対応を考えなければならない」

 ―帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域に関し、政府は帰還に必要な箇所を除染した上で、全ての希望者が帰還できるよう20年代内に避難指示を解除する方針を決めたが、地元は拠点外全域の除染と家屋解体をセットで求めている。
 「拠点外全体を早く除染してほしいという地元の気持ちは承知している。国の方針はまだ全体には至っていない。首長や議会、行政区長らと丁寧に話し合いながら、まずは(帰還意向を尋ねる)アンケートから始めることが第一歩となる」

 ―浜通りに整備する国際教育研究拠点について、法律に基づく特殊法人が運営し、首相と関係5閣僚が共同で主管する方針が決まったが、責任の所在が分散し、統治の問題は生じないか。知事の関与の在り方は。
 「地元が喜ぶものをつくらなければ駄目だと事務方に指示している。立地は地元が『ここで』という場所にすべきだ。知事の意見を聞いた上で、中長期の計画作成や業績評価などに地元が絡める仕組みにする。23年春に法人を設立し、活動を開始するのが目標だ。関係省庁が自らのプロジェクトとして研究開発と人材育成の両方に取り組み、日本全体の科学技術や産業競争力の向上にも貢献する拠点を目指す」