東電社長「福島への責任貫徹」 第1原発で2年ぶり年頭訓示

 
福島第1原発で訓示する東電の小早川社長

 東京電力の小早川智明社長は4日、福島第1原発で2年ぶりに年頭訓示した。「何よりも大切なのは福島への責任の貫徹だ」とした上で、「復興と廃炉の両立を目指すため、当社が地域から信頼される姿を目指す」と述べ、信頼回復に尽力する考えを示した。

 昨年は新型コロナウイルスの影響で福島第1原発での年頭訓示を中止し、映像を配信した。今年は管理職約150人が現地で参加した。

 昨年は柏崎刈羽原発(新潟県)で核物質防護の不備が発覚したり、福島第1原発で故障した地震計を放置したりするなどトラブルが相次いだ。

 小早川社長は訓示後、報道陣の取材に「設備の故障や人的ミスが起こり得ると想定し、業務を設計し直していかなければいけないと考えている」との認識を示した。また、処理水の放出方針については風評抑制対策などを強化するとし、「安全な設計をし、理解を得ることが何よりも重要だ」と述べた。

 福島復興本社の高原一嘉代表もあいさつした。高原代表は「社員一人一人が相手の視点で物事を考え、業務を見つめ直し、責任ある行動をすることでしか信頼を取り戻すことはできない」と呼び掛けた。

 また、小林喜光会長は都内の本社からオンラインで訓示し、原子力発電事業や処理水処分の実施に向けて「多くの関係者との対話を通じ、準備を万全にし、安全とコンプライアンスを常に意識してもらいたい」と話した。

 被災6町を訪問

 東京電力の小早川智明社長は4日、年頭あいさつのため大熊、双葉、広野、楢葉、富岡、浪江6町の役場を訪問した。各首長は福島第1原発の安全で着実な廃炉作業の実施をはじめ、不祥事の根絶や信頼回復への取り組みなどを求めた。

 今春に特定復興再生拠点区域(復興拠点)で避難指示が解除される大熊町の吉田淳町長は「住民帰還に向けた準備宿泊が始まっている。最も大切なのは第1原発の安全かつ確実な廃炉。責任と使命感を持って取り組んでほしい」と述べた。

 早ければ6月の帰還開始を目指す双葉町の伊沢史朗町長は「(第1原発の)設備トラブルやヒューマンエラーなどの不適切事案により、住民帰還への不安を抱かせることがあってはならない」と話した。

 このほか各首長は、第1原発で発生する処理水の処分を巡る国民的な理解醸成や、被害実態に即した損害賠償などを要請した。小野明福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者、高原一嘉福島復興本社代表が同行した。