富岡守れ、初の夜警 復興拠点で消防団、1月26日立ち入り規制緩和

 
復興拠点を前に「古里の安全を守る」と誓う末永団長(右)ら

 富岡町消防団は、町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)への立ち入り規制が26日に緩和されることを受け、拠点内での初の夜警活動を展開する。「どんなささいな変化も見逃さない」。指揮を執る末永博幸団長(62)は、古里の治安維持に決意を語る。団員らは避難先から駆け付けて見回りに参加する予定で、多くの町民が安心して古里で暮らすことができる環境を整えるため、一足早く奉仕の汗を流す。

 富岡町の帰還困難区域内にある復興拠点は約390ヘクタールで、東京電力福島第1原発事故前には当時の人口約1万6000人の2割超に当たる約4000人、約1600世帯が住んでいた。これまでは、バリケードで囲われて自由に入ることはできなかった。規制緩和で原発事故前の風景にまた一歩近づくが、バリケードの撤去により夜間を含め誰もが出入りできるようになるため、不安を抱える町民もいる。

 「空き巣被害が頻発した時期もあった。一軒一軒を注意深く見て回る」。夜警の指揮を執る末永団長は、拠点内の夜の森地区で生まれ育った。現在は郡山市に避難中だが、地理に精通した強みを生かして、人の目が届きにくい場所もきめ細かに巡回する考えだ。

 町消防団は2013(平成25)年の警戒区域の再編時から、町内で日中の警戒活動を続けており、異変がないかどうか目を光らせてきた。過去には団員の一人がドアが開いているアパートで不審な人影を発見。すぐに警察に通報し、署員が到着するまでの間も見張り続け、容疑者の逮捕に貢献した実績もある。

 復興庁が実施した住民意向調査(昨年12月公表)では、回答者の4割超が帰還する場合に必要な施策として「防犯・防火対策の強化」を挙げた。末永団長の自宅は、3年ほど前に空き巣被害に遭った。窓ガラスは割られ、引き出しは全て荒らされていた。「何者かが自宅に侵入する事態が起きれば、帰還を考える住民の心は折れてしまう」。末永団長は自身の経験も踏まえ、夜警活動の充実を誓う。

 立ち入り規制緩和を経て春には準備宿泊が始まり、来年春には避難指示が解除される予定だ。「互いに顔を知っているため、頼りにしてくれる住民も多い。古里の安全をしっかり守りたい」と力を込めた。(辺見祐介)