【改正少年法】更生へ/少年院だから救われた

 
自身の過去を振り返るタクヤ。ゲーム感覚で盗みをしていた時期もあった=仙台市・東北少年院

 薄暗い廊下に鍵の掛かった扉、格子窓...。張り詰めた空気の中、短髪の少年が入室してきた。「食品に日用品、家電製品。いろいろな物を盗みました。慣れてくると、ゲーム感覚で誰が一番盗めるか競争したりもしていました」。東北出身のタクヤ(仮名)は過去の非行を打ち明けた。

 タクヤがいるのは仙台市の東北少年院。非行により、家庭裁判所から第1種少年院送致の決定を受けた少年のうち、主に職業訓練が必要と判断された少年が収容される施設だ。タクヤは盗みをやめた時期もあったが、再び非行に走った。「悪いと分かっていたけど、捕まらなければいいと思って。お金を使うのがもったいないと思うようになってしまった」。自らのことを「わたし」と呼び、丁寧な言葉遣いをし、幼さの残る表情からは想像もつかない言葉が次々と出てくる。

 タクヤは薬物を使用したり、現金をだまし取ろうとしたりもした。少年院に来た当初は、何が問題なのか分からなかったという。「ここに来て、自分が不良的な考えをして偏りが出ていることを指摘された。そこで初めて、自分と向き合うようになった」。少年院での生活が、タクヤの心境を変えつつある。

 再犯防止には就業

 東北少年院の標準的な起床時間は午前7時。朝食後にホームルームが開かれ、職業訓練を行う。昼食後は再び職業訓練や教科指導などに充てられ、午後5時に夕食。その後、学習やテレビを見たり、読書などをしたりして過ごす時間があり、就寝は午後9時ごろだ。生活面のアドバイスをするときもある。

 教科指導は漢字の学習や民間の学力テストなど学校で学ぶような内容が中心で、職業訓練では電気工事や溶接、職業人としてのマナーなどを指導する。資格取得も目指すという。

 特に力を入れているのが就労支援だ。在院者はいずれ、社会復帰する。「再犯や再非行をさせないためには、仕事に就くことはもちろん、そこで継続して働くことが大事」。首席専門官の松田正巳法務教官は力を込める。

 「健全は格好いい」

 「少年院に入る前は相談できる人がいなかった。ここでは法務教官がいろいろなことを聞いてくれるのでうれしい」。東北少年院で過ごすヒロキ(仮名)の表情が明るくなる。かつては薬物使用を繰り返し、人を傷つける行為もした。「弱みを見せないように強がっていただけ。今考えれば、ダサいなと思う」。過去の自分と決別し、「健全な生活をしている方が格好いい」と思えるようになった。

 少年院を出た後は、法務教官になることも考えている。薬物の怖さを教えてくれて、さまざまな相談にも乗ってくれた法務教官と接するうちに、憧れを抱くようになった。もし20歳以上で罪に問われていたら、出会うことのなかった法務教官たち。「少年院は自分たちが立ち直るためにある施設。刑務所ではなく、少年院で良かった」。矯正教育を受ける中で、新たな人生の目標を見つけた。

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 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法の改正に合わせて、4月から事件を起こした18、19歳の厳罰化を図る改正少年法も施行される。18、19歳を「特定少年」とし、刑事罰の対象となる犯罪の範囲が強盗事件などに広げられる。裁判員の対象年齢も引き下げられる。改正少年法施行によって変化が生じる現場を歩いた。

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 少年院 家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年を収容する施設。在院者は生活指導や職業指導などの矯正教育を受ける。全国各地にあり、東北地方では岩手県と宮城県にある。犯罪の傾向の進度などにより、第1種から第4種まである。