【改正少年法】厳罰化/18歳と20歳...心の成長差 立ち直り機会を

 

 「最初は粋がって格好つけて話していたが、(20歳を過ぎたころは)客観的に物事を見ることができるようになった」。保護司として20人近い少年を担当してきた郡山地区保護司会長の倉元久美子さん(71)は、過去に担当した少年のことを振り返る。初めて会ったのは少年が18歳の時。今は20歳を過ぎて、社会で働いている。「会社でもみんなを引っ張る存在になった」。成長に目を細める。

 「18と20。年齢にすれば2歳しか変わらないが、この差は非常に大きい」。元県立高校教諭で、非行少年少女の立ち直りなどに取り組む「BBS(ビッグ・ブラザーズ・アンド・シスターズ・ムーブメント)」の東北地方BBS連盟会長を務める今関達也さん(63)はそう指摘する。

 一般的に18歳は、自分をコントロールする力が不安定な時期とされる。「成長の過程で自分を見失い、悪事に手を染めてしまうのは誰にでもあること。ただ、それも大抵は20歳くらいで収まっていく」。社会にもまれ、次第に己を律する力が身に付く。自身の経験から、そう感じている。

 今関さんは今回の少年法改正について「やむを得ない部分はある」と理解を示す一方「今の制度が機能している。現状のままでも良かったのではないか」と疑問を持つ。

 起訴時点で実名報道

 今関さんが懸念を示すのは、今回の改正が非行少年の立ち直りの機会を奪う可能性があるからだ。現行では少年が事件を起こすと、少年は家庭裁判所に送られ、家裁が生育歴や家庭環境などを詳しく調査。殺人などの重大事件を除き、少年院送致や保護観察などの保護処分にし、少年の更生を図っていく。

 だが今回の改正で、18歳と19歳は「特定少年」と位置付けられ、家裁が「保護処分ではなく刑罰を科すべきだ」と判断した場合に検察官に差し戻す「逆送」の対象事件が強盗などに拡大された。逆送され実刑判決を受ければ、刑務所に収容される。刑務所は刑罰を科すことが重点で、更生を重視する少年院とは違う。さらに起訴された時点で実名報道が解禁される。

 また少年法では、実際に犯罪行為をしていなくても、不良行為をするなど将来的に犯罪をする恐れのある少年を「虞犯(ぐはん)少年」と位置付け、少年審判や保護処分の対象としている。改正法では、18歳以上の虞犯少年は審判の対象から外された。

 「矯正なく社会復帰」

 「矯正という側面は後退したのではないか」。少年事件なども担当する倉持恵弁護士(福島市)は懸念を示す。倉持弁護士によると、強盗事件でも、内容によっては刑事裁判で執行猶予になり、そのまま社会復帰する可能性が出てくるという。「なんの教育も受けず、早期に社会に戻ることが、本人や社会のためになるのか」と感じている。

 自分を改めようとする気持ちがなければ、再び犯罪に走る可能性もある。倉持弁護士は「罪は罪として向き合わせ、きちんとした生活環境を整えていくことが大事。社会の協力があれば、より改善につながっていく」と強調する。「更生」か「刑罰」か。少年のその後の人生を大きく左右することになる。