韓国と福島つなぐ家に 猪苗代にゲストハウス「イメージ変えたい」

 
県内3地方にちなんで付けた部屋を紹介する佐川さん。「福島の魅力を知ってほしい」と語る

 韓国と福島をつなぐ交流拠点に―。猪苗代町の佐川竜二さん(33)は町内の空き家を改装し、地元住民と国内外の観光客が交流できるゲストハウスをオープンした。ソウルで長く留学生活を送った佐川さんは、韓国人観光客を将来的なターゲットに想定している。「韓国内での福島のイメージを少しでも良くしたい」と奮闘中だ。

 施設の名前は「ハンボック」。佐川さんが考案した韓国語の造語で、ハンは韓国の「韓」、ボックは福島の「福」を意味する。「韓国の方々に向けて付けた。『なぜ韓国語の施設が福島にあるのだろう』と興味を持ってもらいたかった」と佐川さんは話す。

 昨年9月のプレオープン中には、ワーキングホリデーで日本に滞在中だった韓国の友人が早速宿泊した。友人は「磐梯山がきれいだ」と景色に感動するなど、終始喜んで滞在していたという。「実際に訪問してもらうことで福島の良さを少しずつ発信したい」。新型コロナウイルス禍が落ち着けば、友人らのネットワークを通じて本格的にアピールしていく考えだ。

 浅川町出身の佐川さんは、Kポップ好きが高じて2013(平成25)年からの5年間、ソウルの語学学校や大学に通った。学校やアルバイト先で、出身地を答えると嫌な顔をされたこともあり、東京電力福島第1原発事故のマイナスイメージに苦しんだ。

 福島のイメージを変えるために14年、ソウル在住の県内出身者を集め「ソウル福島県人会」を設立し、初代会長に就任。イベント会場で県内の観光地や文化を積極的に紹介したが、それよりも「実際に滞在しなければ本当の姿は伝わらない」と考え、本県でのゲストハウス開業を決意する。

 一昨年からは猪苗代町の地域おこし協力隊として働きながら、オープン準備を進めた。立地の決め手は目の前に磐梯山の絶景が広がる「景色の良さ」。昨年10月の正式オープン後は、週末になるとほぼ満室になるなど人気の施設となった。

 施設は全3部屋で、全て4人ずつの相部屋になる。消毒に加え、各部屋で空気清浄機を常時稼働するなど感染対策を徹底した。部屋の名前は県内3地方にちなんで女性限定の「あいづ」、男性限定の「なかど~り」、男女混合の「はまど~り」と付けた。台湾人の宿泊客からは「どんな意味か」と聞かれ、地名のエピソードで話が弾んだ。

 共用スペースのカウンターには県産日本酒や町の地ビールを置き、宿泊者以外の地元の人も自由に出入りができる。「地元の方や宿泊者同士で交流してもらえることに喜びを感じる」と佐川さんは話す。「韓国から多くの方々が訪問できるようになったら、地元の人たちとたくさん交流し、福島の魅力を知ってほしい。誤解を解くには、それが最も大切だと信じている」(伊藤雅将)

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 ハンボックの住所は猪苗代町三ツ和字長香1746。問い合わせは電話050・8883・0650へ。