弁護団「国も賠償責任」 原発事故訴訟、過失前提の基準策定目指す

 

 東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟。このうち4件は最高裁の上告審弁論が15日から始まり、今年夏にも国の責任について統一判断が示される見通し。「再び原発事故を起こさないために、国も責任を負うべきだ」。原告弁護団は、弁論を前に今一度、争点を見据える。

 集団訴訟の一つ、福島訴訟(生業(なりわい)訴訟)を担当する弁護団事務局長の馬奈木(まなぎ)厳太郎(いずたろう)弁護士(46)は「国の原発事故に対する法的な意味での責任の有無・程度が初めて判断される」と裁判の意義を語る。東電の賠償責任が確定した最高裁決定には「原告だけにとどまらず、被災者全体も同じ被害を受けていることを最高裁も是認した」と強調。最高裁で国に勝訴し、過失責任を前提とした賠償基準の策定を目指すとしている。

 福島訴訟は2013(平成25)年3月に約800人が国と東電を相手に提訴し始まった。原告は全59市町村におり、一時5000人を超えた。震災直後の11年5月から避難所での弁護士相談に参加し、被災者支援に携わってきた馬奈木氏。今回の原発事故の一つの特徴を「損害が住民のみならず、地域全般に及んでいるのであれば公害と同じ」とし、原発訴訟を水俣病など1970年代の四大公害訴訟に倣って原状回復を訴えてきた。包括的な救済制度を求めるためには、国の責任があるかないかで大きく変わると指摘、上告審弁論の意味を捉える。「地域の再生や故郷を離れなければいけなくなった住民も含め、人間関係や地域の結び付きを再構築していかなければ解決とは言えない」

 福島訴訟を担当する弁護団員の鈴木雅貴弁護士(36)は「誰が加害者で被害者か、よりはっきりする。国民同士を不平等に扱ってはいけない」と語る。

 すでに東電による賠償責任は確定しているが「原告以外にも同じ賠償を受けられる仕組みを国はつくらないといけないはず」とこれまでの訴訟で強調してきた鈴木氏。国の責任が認められた場合、原告以外の県民にも賠償が広がる可能性を挙げる。

 事故から11年が経過し、9年に及ぶ裁判の中で、県民の原発事故に対する関心は薄らいでいる面もある。県民の中で生じる温度差。鈴木氏は「原告だけでなく、県全体の問題としてこの裁判を捉えてほしい」と語る。

 上告審弁論が行われる4件の訴訟を巡り、高裁判決では国の責任について各訴訟の判断が分かれている。

 福島と千葉、愛媛の3件は「東電に対策を命じる規制権限を行使しなかったのは著しく合理性を欠き、違法」などと国の責任を認めた。一方で群馬は「東電に対策を命じなかった対応に問題があったとまで認めることは困難」として認めなかった。

原発避難者訴訟4件の高裁判決の要旨