「やっと戻ってきた」通勤・通学客ら安堵 東北新幹線全線再開

 
福島駅のホームで運転再開した感謝の横断幕を掲げる駅員ら=14日午前7時30分ごろ、福島市

 最大震度6強を観測した地震から約1カ月、一部運休の続いていた東北新幹線がようやく全線で運転を再開した。14日に運休が解消した福島―仙台は通勤や通学での利用客が多く、乗客からは「やっと戻ってきた」「これでスムーズに通学できる」など再開を喜ぶ声が上がった。

 再開初日となった福島駅(福島市)の新幹線ホームでは、始発の時間帯に合わせ、駅員や作業員が感謝の思いを記した横断幕を掲げて多くの乗客を迎えた。仙台に向かう下りの新幹線が到着すると、「多くの励ましのお言葉に感謝します」と構内アナウンスが流れた。

 脱線などが起きた福島―仙台は当初、20日前後の再開を予定していたが、復旧作業が順調に進み再開日が前倒しされた。宮城県塩釜市の会社員伊藤明子さん(52)は運休期間中、家を出る時間を約1時間早めて高速バスや在来線を乗り継いで、福島市の職場に通勤していた。再開した福島―仙台は当面、最高速度を通常の約半分に落として運転するため、所要時間は20分程度余計にかかる。それでも「やっぱり新幹線の方が在来線より乗り心地が良いし、乗り換えにも便利」と声を弾ませた。宮城県内の大学に通うため新幹線を利用していた福島市の長南衛さん(22)も「再開してくれてありがたい。これで朝はゆとりを持ってスムーズに学校に行ける」と笑顔だった。

 新生活のスタートに新幹線再開が間に合った人の姿も。福島市の宇田川空さん(18)は仙台市の専門学校の入学式に向かうため、再開初日に新幹線を利用した。当初は運転再開が入学式に間に合わないと思い在来線で通う計画も立てていた。「開通してくれて良かった。これから安心して通学できる」と安堵(あんど)の表情だった。

 観光地は誘客に期待

 観光面では、本県など東北5県と新潟県で宿泊費などを補助する「県民割」が相互に受けられる取り組みが始まっており、県内の観光関係者からは全線運転再開に期待の声が上がる。

 福島市の飯坂温泉にある福住旅館の紺野幸子女将(おかみ)は東北新幹線の全線運転再開に「大型連休も控えており、首都圏の方々の旅行意識も少しは高まるのでは」と話す。現時点で「県民割の効果も昨年10月の開始時のように爆発的ではない」というが「県内の新型コロナ感染者も増加傾向で旅行を控えるムードもあるが、大型連休中の予約は少しずつ入ってきている」と全線運転再開の誘客効果に期待を寄せる。

 大型連休中の予約10万件弱

 JR東日本は、大型連休(28日~5月8日)期間中の新幹線と在来線特急の指定席予約状況を発表した。14日に全線で運転が再開した東北新幹線は予約受け付けを開始した13日だけで、期間中の予約可能席数72万4000席のうち9万2000席分の予約があったという。同社によると、現時点の指定席予約状況では、下りは29日、上りは5日の予約が多くなっているという。