がんに近い培養細胞、世界へ提供可能に 福島医大と英機関など協力

 

 福島医大は14日、国内商社、英がん研究機関との3者でがん研究に関するパートナーシップを締結したと発表した。医大が開発した、体内のがん組織に近い培養細胞「がんオルガノイド(F―PDO)」を世界中のがん研究者が利活用できるようになり、薬剤の開発などがん治療研究の加速化が期待されるという。

 締結したのは英がん研究機関「キャンサー・リサーチ・ユーケー」と商社の「住商ファーマインターナショナル」(東京都)。医大が開発した培養細胞はこれまで国内での利用が中心だったが、キャンサーが持つ流通ルートや住商ファーマの仲介によって、がん研究が盛んな米国を含め世界で利用できるようになる。

 医大は患者から摘出されたがん組織を使い、培養する液体の成分などを研究して体内のがん組織に近い培養細胞を開発した。増殖させることで元のがん組織の特徴を受け継いだ「ミニ臓器」を作ることも可能で、疾患の状況把握に加え、抗がん剤など薬剤の治療に対する患者の反応をより的確に予測できるという。

 培養細胞は肺がんや卵巣がん、膵臓(すいぞう)がんなど15種類あり、薬剤の安全性や有効性を評価する手法としても期待される。

 F―PDOは医大の登録商標で、国内では5、6年前から利用されている。医大は以前から住商ファーマと関わりがあったほか、数年前に米国で開かれた学会でキャンサーの関係者と知り合い、締結に向けた検討を進めてきた。

 がん研究などを担う医大「医療―産業トランスレーショナルリサーチセンター(TRセンター)」の高木基樹教授は「世界規模でのがん研究の加速化に貢献できる、非常に有意義な機会」と期待する。キャンサーのロバート・ボンダリック氏は「医大の研究価値を世界に示すことができる。創薬研究などに役立つ最適なツールの一つとして提供されていくことになる」とコメント。住商ファーマの奥山勝也社長は「腫瘍学研究の進歩に有意義な影響を与えられることを非常にうれしく思う」としている。