飼料高騰「もう限界」 福島県内の畜産関係者「数年前の1.5倍」

 
牛に餌をやる鈴木さん。飼料価格は高騰しているが「良い品質の牛を育てるだけ」と前を向いている

 畜産農家や業者が飼料の高騰に苦しんでいる。中国での需要増加や新型コロナウイルス感染拡大と原油高騰などによる輸送コスト増、さらにはロシアのウクライナ侵攻の影響から原材料のトウモロコシなどの価格が値上がりしている。価格の高止まりも予想され、県内の畜産関係者からは「もう限界」と嘆きの声が上がる。

 「(飼料価格は)数年前の1.5倍ほどになっている。ダブルパンチだ」。田村市船引町の和牛繁殖農家鈴木新一さん(53)は顔をしかめる。原油高騰で牛舎の運営コストが増えたところに、飼料高騰が追い打ちをかける。

 48歳で脱サラし、家業を継いだ。当時は牛の価格が全国的に好調だったこともあり、飼育頭数を10頭ほど増やした。今では約40頭を飼育する市内有数の大規模畜産農家となった。餌には、ロシアやウクライナ産トウモロコシなどを配合した飼料を使う。

 経営規模が大きければ大きいほど牛舎の運営費用はかさむ。「地域の畜産農家は高齢化が進み、5~10年後に何人残っているかは見通せない。せめて現状維持していくためにも、状況が良くなってほしい」と鈴木さん。新型コロナ感染症の影響で外食産業が落ち込み、牛自体の価格も低調気味と経営環境は苦しい。それでも鈴木さんは「良い品質の牛を育てれば、高い価格を付けてもらえる。それを励みに頑張りたい」と話す。

 農林水産省によると、配合飼料価格は2020(令和2)年4月に1トン当たり6万円台後半だったものが、昨年12月には8万円を超えるまでに上昇した。「ここ2年間で飼料の価格が3割以上高くなっている。最悪な状況が続いている」と話すのは、県養豚協会長を務める泉崎村の養豚業木野内ファーム社長、木野内理さん(47)だ。木野内さんによると、飼料価格の値上がりが始まったのは20年秋ごろ。小規模な養豚業者が多かった中国で、配合飼料を使う企業養豚が急成長した結果、原料となるトウモロコシなどの需要と供給のバランスが崩れ始めたという。また日本の飼料は輸入に依存し、原油価格高騰や円安の影響を受けやすい。新型コロナやウクライナ情勢など不安定な社会情勢も価格高騰の要因となっている。

 木野内さんの元には「個人ではもう限界」「運転資金を借り入れするしかない」といった会員の声も届いている。「これまで、気候変動により価格が高騰することはあったが、今回は要因が違う。米国が来季のトウモロコシの作付けを減らすという話もあり、より高騰することが考えられる」。協会は生産者の実質負担を軽減する行政の支援や、飼料価格が高止まりすると十分な支援が受けられなくなる国の配合飼料価格安定制度の見直しなどを求める要望活動なども始めている。