モモ農家...VRで育成 福島大・高田准教授、仮想空間に畑再現

 
VRゴーグルを使い、仮想空間のモモ畑を体験している様子。難解な剪定技術を学ぶことができる(高田准教授提供)

 福島大食農学類の高田大輔准教授(44)=果樹園芸学=は、果物の栽培技術の継承や高付加価値化を目的に、モモ畑を仮想空間に再現した。新規参入者にVR(仮想現実)ゴーグルを着けて剪定(せんてい)技術を学んでもらったり、仮想空間のモモの木を顧客に提示して商品価値を高めたりするのに活用する。「果物王国ふくしま」にデジタル技術による事業変革(DX=デジタルトランスフォーメーション)を導入する取り組みとして注目される。

 高田氏によると、果樹生産は単価が高く、高収入が見込めるため新規に参入したいと考える人が少なくない。しかし、ほかの農業の分野と比べて機械による作業の自動化が進んでいないことなどから技術継承が難しく、木が育って安定的に収穫できるまで数年かかることも相まって、参入に二の足を踏む人が多いという。

 高田氏は桑折町のモモ農家の協力を得て、モモ畑をレーザーで3次元測量して、仮想空間に広さ15~20アールの畑を再現した。仮想空間のモモ畑では、VRゴーグルを着けて剪定作業を体験できる。枝のどの部分を切ればいいのかなど高度な技術と経験が要求される剪定は、指導書による2次元的な説明では理解が難しいが、仮想空間ならば3次元空間の枝の配置を見ながら学ぶことが可能になる。熟練の農家が実際に剪定した部分を画面に示すこともできる。

 また、仮想空間の木になっているモモを糖度別に色分けして表示でき、顧客に前年のデータを反映したモモを見てもらい、糖度の高いモモがなる傾向の高い木の枝を「枝単位」で販売することなどを検討している。

 東北・新潟の大学の研究成果の事業化を支援する昨年度の事業に採択され、助成金を受けた。本年度は事業化を見据え、作製済みの仮想空間のモモ畑の利用のほか、新たに仮想畑の作製に一緒に取り組む農業法人を募集する。将来的に、福島大発のベンチャー化を目指している。

 高田氏は「新しい技術を使い、震災復興に伴う支援に頼らなくてももうけることができる仕組みを作りたい。果物栽培への新規参入を考える農業法人と一緒に取り組んでいきたい」と話している。