聖地の将来「無限大」 Jヴィレッジ全面再開3年、教育旅行が増加

 
「施設の可能性を引き出し、浜通り発展につなげたい」と語る大久保さん

 国内有数のサッカー施設Jヴィレッジは20日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を経た2019年4月の全面再開から3年を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大の中でも、サッカーをベースにさまざまな分野の利活用を進め、来場者数は前年度を超えた。関係者は「Jヴィレッジのにぎわいを浜通りの発展につなげたい」と地域とともに歩む拠点としてさらなる飛躍を誓う。

 「ノウハウ生きる」

 「私から見れば施設のポテンシャルは無限です」。今月からJヴィレッジの専務を務めている大久保毅彦さん(55)は、ためらいもなく言い切る。大久保さんの前職は、大手旅行会社JTBの東北エリア広域代表・仙台支店長。豊富な経験から「Jヴィレッジが積み重ねてきたノウハウは、必ず生きる」と指摘する。

 新型コロナが猛威を振るっていた昨年4月、Jヴィレッジは海外からJリーグチームに合流する外国人選手の待機場所として使われていた。

 行政と連携し、感染防止対策を万全に整えた。その対応がスポーツ関係者の耳に届き、東京五輪時にはサッカー・オーストラリア代表が拠点とし、バスケットボール日本代表が事前合宿の拠点に選んだ。聖火リレーの出発点となったことも合わせ、評価を高めた。

 サッカーに限らず

 21年度の来場者数は28万5千人。19年度の約49万人には及ばないが、20年度の約23万人を上回った。大久保さんは「サッカー以外のスポーツに加え、教育旅行の利用者が増えたことが大きい」と分析する。宿泊者ベースで見ると、サッカー関連が約55%、サッカー以外のバスケットボールやラグビーが約13%で、震災前にほとんどなかった教育旅行が8.8%まで伸びた。

 コロナ感染拡大下で、首都圏や大観光地は避けたい―という県内や近県の教育機関などのニーズを的確に捉えた結果だという。ホテルに個室が多く、感染防止対策を取りやすいこと、復興の歩みを学ぶことができるプログラムを用意していたことが功を奏した。今後はスポーツだけではなく、企業の語学研修や吹奏楽の合宿などの誘致も目指す。

 秋田県出身の大久保さんは、社会人の最初の6年間をいわき市を中心に浜通りの地で過ごした。「30年ぶりに訪れて変わっている部分もあるが、地名などは懐かしい。社会人としていろいろなことを学んだ浜通りに恩返しができれば」と語る。

 Jヴィレッジを本拠地にしているいわきFCのJ3昇格や、24年度からの夏季インターハイ男子サッカーの本県固定開催など、プラス要因もある。「ハード面の良さをまだ生かし切れていない」。湧き出るアイデアで、Jヴィレッジの新たな歴史を切り開いていく。

 ピッチ利用、平日「無料」

 Jヴィレッジは県内の教育機関による平日のピッチ利用料を無料化する「Let'sJ―VILLAGE」を実施している。国内最高レベルのピッチを使ったさまざまな活動を支援し、幅広く施設に親しんでもらうことを目指す。

 県内の幼稚園や保育園、こども園、小学校、中学校、高校などが、学校行事や授業で天然芝ピッチや人工芝ピッチ、全天候型練習場を利用する場合が対象となる。部活動やクラブ活動は対象外。Jヴィレッジホームページ内の予約ページから申し込む。