水素関連技術者を育成 福島県が資格取得や研修費用補助

 

 県は本年度、水素関連の技術者育成に取り組む県内企業を対象にした補助制度を新設した。県内で研究機関や大手企業による水素分野の実証が進む一方で、県内中小企業の参入に向けたハードルは高く、関心があっても参画をためらう例が多い。このため、水素の取り扱いに必要な資格の取得や研修などの費用を支援することで水素関連産業の人材育成を後押しし、参画企業を増やす狙い。

 20日、県庁で開いた「水素社会のモデル構築に向けた産学官連携会議」で示した。専門家を招いて水素の基本知識や貯蔵、利用技術などの研修を行ったり、従業員が高圧ガスの取り扱いなどの資格取得講習に参加したりする費用を対象に、1社当たり経費の2分の1以内で50万円を上限に補助する。12月15日まで申請を受け付けており、随時、審査した上で採択していく。

 国は2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成へ、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立できる水素の導入に重点を置いており、関連市場の拡大が期待される。県内でも福島水素エネルギー研究フィールド(浪江町)や産総研福島再生可能エネルギー研究所が研究開発を進め、トヨタ自動車が水素で走る燃料電池(FC)トラックの物流実証に乗り出すなど、水素利活用の取り組みが次々と始まっている。

 こうした状況に県内企業の期待も高まっており、2018年に県再エネ研究会内に発足した「水素分科会」の登録企業数は約200社に上り、設立時の5倍近くに増えた。このうち県内企業が6割を占め、機器部品の供給や保守点検での参入を望む企業が多い。ただ、中小企業が多い本県では、特殊な技術を要する人材の育成などが企業の負担となっており、研究機関や大手企業による実証への県内企業の参画は限定的だという。

 県は技術者育成を支援することで県内企業の新規参入や事業拡大につなげる方針。将来的には部品供給などに加え、主要機器の製造や保守点検の拠点化など「コア技術」の事業化を目指していく。また、県は人材育成と併せ、FCトラックを導入する県内企業に対する補助制度も新設する方針で、水素関連産業への参入を多方面から進め、市場の拡大に対応できる体制を構築。産業振興や脱炭素化を図っていく。