帰還困難区域のイノシシ、セシウム濃度減衰傾向 初の長期的調査

 

 東京電力福島第1原発事故の帰還困難区域に生息するイノシシの筋肉中の放射性セシウム濃度が、区域外の個体と比べ高い値であることが、県環境創造センターなどの研究グループの調査で分かった。また、時間がたつにつれセシウム濃度がやや減衰傾向にあることも確認した。5年間にわたる長期的な推移を調べた初の調査で、イノシシ体内の放射性セシウムの動態把握や個体数管理に向けた施策に応用できるとみている。

 センターが20日、発表した。研究グループは2016~20年の5年間、環境省の協力で双葉、大熊、浪江、富岡、葛尾、飯舘6町村の帰還困難区域内と、このほかの県内各地で計約1100頭を対象に調査した。

 帰還困難区域、同区域を除く浜通り、中通り、会津のイノシシの放射性セシウムの平均値と推移は【グラフ】の通り。平均値をみると、帰還困難区域とそれ以外では最大で100倍程度の差が確認された。また、帰還困難区域のイノシシについても区域外と同様、年数経過によって放射性セシウム濃度が減衰傾向にあることが分かったという。

 今回の調査結果は、イノシシの放射性セシウム濃度のモデル化による狩猟解禁に向けた予測に応用できるといい、センターの担当者は「適正な個体管理に向けた一歩になる」としている。

 論文は、英科学誌のサイエンティフィック・リポーツに19日付で掲載された。