埼玉避難者訴訟、東電に6500万円賠償命令 地裁判決

 

 東京電力福島第1原発事故で本県から埼玉県などに避難した住民95人が国と東電に計約11億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、さいたま地裁の岡部純子裁判長は20日、東電に対し原告63人に計約6500万円の賠償を支払うよう命じた。一方、国への請求については棄却した。原告側は控訴する方針。

 岡部裁判長は判決理由で、国の地震予測「長期評価」の信頼性を認定し「原発建屋の敷地高を超える津波を予見できた」とした。一方、国の過失については「防潮堤の設置などの措置を取っても津波を防護できたとは認められない」などとして原告の主張を退けた。

 東電の責任については「(原発事故で)平穏に生活する利益が侵害された」などとし、国の賠償基準「中間指針」を超える賠償を認めた。賠償額は1人当たり約30万~2200万円で、避難指示区域外の原告は50万円程度とした。一部の原告には十分な賠償を支払っているとして上乗せを認めなかった。

 同種の集団訴訟では18件目の地裁判決で、国の責任を否定したのは9件目。国の責任について最高裁は今夏、統一判断を示す見通し。

 弁護団の吉広慶子弁護士は判決後の記者会見で「国の予見可能性は認められたが、結果回避の責任を問われず残念だ。多くの賠償額が認められるよう引き続き訴えていく」と述べた。

 判決を受け東電は「判決内容を精査し、対応する」とした。原子力規制庁は「新規制基準への適合性審査を厳格に進め、適切に規制していきたい」とした。