ワインづくりで富岡復興後押し、移住の細川さん...生産経験生かす

 
「ワインを軸に町の復興を後押ししたい」と醸造に励む細川さん

 「ワインを軸に町の復興を後押ししたい」。浜松市出身の細川順一郎さん(49)は今年1月、震災と原発事故からの復興を目指し、富岡町でワインを生産する「とみおかワインドメーヌ」で活動を始めた。単身で町に移り住み、ブドウの栽培からワインの生産まで業務全般を担っている。

 昔からワインが好きで、友人らと頻繁に飲み比べをしていたという細川さん。大学卒業後は地元のIT関連会社に就職するも、ワインショップを経営する友人の誘いで2004年にワイン業界に飛び込んだ。系列会社のワインバーなどで働き、ワインソムリエの資格を取得。その後は仕入れで訪れた山梨県甲州市のワイナリーに身を移し、ブドウの栽培などワイン生産の全般に携わった。

 ワイナリーは小規模で生産量も少なかったというが「自分のワインを飲んだ人の喜ぶ顔を見るのがうれしかった」と客の笑顔にやりがいを感じていた。

 甲州市のワイナリーは昨年8月に退職した。長年の夢だったワイナリーの設立に向けて準備を進めていた時、友人からとみおかワインドメーヌの紹介を受けた。ワイン生産の経験がない中、復興を目指してひたむきに努力する代表の遠藤秀文さんらの姿に感銘を受けたという。

 「自分の経験を復興に役立てたい」。家族を甲州市に残して引っ越した。海と山に囲まれる町並みは古里の浜松市と似ており、安心感があったことも理由の一つだった。

 現在は統括リーダーとして、経験の浅い職員にノウハウを伝授しながらワインの生産に励む。ワイン畑は海を見渡せる小高い丘の上にあり、盆地特有の甲州市と気候が異なるためブドウ栽培も手探りの状態だ。それでも細川さんは「復興のためには町に人が集まることが大切。そのために失敗を恐れず挑戦していく」と言葉に力を込めた。