沿線観光追い風実感 相馬福島道路全線開通1年、地震に負けず前へ

 
全線開通から1年となる相馬福島道路。沿線は3月の地震の被害が大きかった地域だ=4月20日、伊達中央インターチェンジ付近

 相馬地方と県北地方を結ぶ東北中央道「相馬福島道路」(延長約46キロ)が全線開通して24日で丸1年になる。交通の便が格段に良くなり、相馬、伊達両市の観光関係者は効果を実感している。ただ、沿線は3月の地震による被害が特に大きかった地域と重なり、新型コロナウイルスの影響も相まって苦難が続いている。関係者は「道路を活用して、地域を盛り上げていきたい」と前を向く。

 「中通りから来るお客さんから『近くなった』『来やすくなった』との声を聞くようになった」。相馬市松川浦周辺で飲食店「お食事処たこ八」を運営するカネヨ水産社長の小野芳征さん(62)はそう話す。店の目玉は地元の漁港で水揚げされたばかりの魚介類。名物料理「ホッキ飯」や海鮮丼、地魚のから揚げなどで観光客をもてなす。

 東日本大震災後、松川浦周辺では誘客の柱だった潮干狩りの再開のめどが立たず、観光関連業は苦戦を強いられた。2018(平成30)年の原釜尾浜海水浴場の再開、昨年の相馬福島道路の全線開通と最近になって追い風が吹くようになり、小野さんは「これでやっと松川浦に目を向けてもらえる」と感じていたという。

 相馬福島道路の霊山インターチェンジ(IC)に隣接する「道の駅伊達の郷りょうぜん」は、オープンした18年度の来場者が120万人だったのに対し、21年度は130万人と客足を伸ばした。道の駅の三浦真也駅長(47)は「相馬方面に加え、宮城県南部などからの来客が増えているためではないか」と全線開通の効果を指摘。コロナ禍のため隣県からの観光客はまだ少なく、伸びしろがあるとも考えている。

 関係者の期待が膨らむ中で3月に地震が起き、沿線地域に暗い影を落とした。国道399号の伊達橋(伊達市)など阿武隈川の主要な橋が通行止めとなり、相馬福島道路が迂回(うかい)路の一つとして思わぬ役割を果たすことになった。福島河川国道事務所によると伊達中央―伊達桑折IC間上下線の平日1日当たりの交通量は約5500台だったが、地震後に約3千台増え約8500台になった。

 お食事処たこ八も地震で調理設備などに被害を受けた。数日間の休業を余儀なくされ、周辺の旅館はさらに被害が大きかった。小野さんは「(全線開通で)道路環境は整っているので、早く復旧してもらいみんなで松川浦を盛り上げていきたい」と意欲を語る。休日を利用し店を訪れたという福島市の会社員渡辺浩司さん(44)は、相馬市内の地震被害に驚きながらも「全線開通でだいぶ近くなった。来て食べて、応援することができれば」と思いを口にした。