浪江・農業ダム「大柿ダム」に水力発電所整備 24年1月稼働へ

 
(上)請戸川水力発電所の完成イメージ図(下)調印書に署名した(左から)堀部氏、吉田氏、松川氏

 浪江町の農業用ダム「大柿ダム」に、請戸川水力発電所が整備されることになった。ダムを管理する請戸川土地改良区(浪江町)など3者が設立した新会社が発電事業を担う。東京電力福島第1原発事故で全町避難した町では、事故を教訓に再生可能エネルギーの地産地消を推進しており、今回の水力発電で地域の営農支援と、脱炭素や持続可能な社会の実現を図る。2024年1月の発電開始を目指す。

 新会社の名前は「アクアコネクトなみえ」。請戸川土地改良区のほか、再エネを中心とした電力事業運営実績があるJFEエンジニアリング(東京都)、水力発電所の建設や運用に知見のある東京発電(同)の出資で設立した。相双地方の農業用ダムに水力発電所が整備されるのは初めて。

 新会社によると、既設の水利設備を活用して発電する。年間発電量は約600万キロワットで、一般家庭約1700世帯分に相当する。発電した電気は固定価格買い取り制度(FIT)に基づき、電気事業者に売電する。大柿ダムは1988年に完成し、浪江町のほか、隣接する南相馬市小高区と双葉町に農業用水を供給し、地域農業を支えてきた。

 浪江町での調印式で、請戸川土地改良区理事長の吉田数博浪江町長、JFEエンジニアリングの松川裕二取締役専務執行役員、東京発電の堀部慶次社長が調印書に署名。吉田町長は「土地改良区は原発事故による農家の避難長期化に伴い、従前の農業コミュニティーが戻らず、農業施設の維持管理費となる賦課金の徴収が難しい状況があった。水力発電は維持管理費を捻出する大きな財源となる上、地域の営農支援、脱炭素社会の実現が図られる」と期待した。