福島、住宅街にカモシカ 体長1.5メートル、突然の「大捕物」に

 
住宅街で福島署員に取り囲まれるカモシカ=26日午前11時17分、福島市野田町

 26日午前7時15分ごろ、福島市森合の住民から「住宅街にシカがいる」と110番通報があった。福島署員や市役所職員ら約40人が付近を捜したところ、カモシカとみられる1頭を発見した。カモシカは市内を走り回った末、同11時35分ごろに同市野田2丁目の民家敷地内で捕獲された。けが人はいなかった。

 同署や市文化振興課などによると、国の特別天然記念物に指定されているニホンカモシカの雄とみられ、体長は約1.5メートル。麻酔剤で眠らせた後、吾妻山麓に返す予定だったが、その前に死んだ。死因は不明。市内のあぶくまクリーンセンターで焼却処分された。過去に市内中心部にニホンカモシカが出現したケースは確認できないという。

 現場はJR福島駅から西へ約1キロの住宅街。突然の大捕物に付近は一時騒然となった。

 カモシカが捕獲された家に住む会社員の男性(45)は、近隣住民からの電話を受け、仕事場から急いで帰宅した。「とても驚いた。血痕はいくつか残っているが、家や家族への被害はなくて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。富士見町会で防災を担当する70代の男性は「35年間この辺りに住んでいるが、カモシカを見るのは初めて。相当大きかったので捕まって安心した」と話した。

 「人への危害少ない」

 野生動物管理学が専門の望月翔太福島大食農学類准教授(37)は、迷い込んだニホンカモシカは生息域である吾妻山や安達太良山から川沿いを下って市街地に姿を現したとみる。今回は市街地に出現し、人に危害が及ぶ可能性を踏まえて捕獲に踏み切ったが「本来人に危害を加えるケースは少ない動物で、山間部や農村部であれば静かに見守るようにしてほしい」と話した。

 また、高齢とみられる個体だったことに着目し「餌を探しに人里に下りてきたのではなく、縄張り争いで負けて行き場を失っていた可能性がある」と分析した。

 捕獲後に死んだことについて「カモシカはパニック状態で、強いストレスがあったと思う。特別天然記念物への対応をどうすべきか、行政は検討しておく必要があると思う」とも指摘した。