「処理水放出」方針、国内6割知らず 復興庁・国内外認識調査

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、復興庁が国内外を対象に実施した調査で、処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度が国の基準を大幅に下回るよう海水で薄めて放出する政府方針について「知っている」と回答したのは国内で43.3%にとどまることが分かった。約6割が認知しておらず、政府と東電が来春を目標とする放出開始が迫る中、放出計画そのものが浸透していない現状が浮き彫りとなった。

 復興庁が「処理水に関する認識状況調査」を行ったのは初めてで、26日に結果を公表した。調査はことし1~2月に日本と韓国、香港、台湾、シンガポール、米国、英国、フランス、オーストラリア、ニュージーランドの10カ国・地域の20代以上の男女を対象にインターネットで実施。オーストラリアとニュージーランドが合わせて300人、他の8カ国は各300人の計2700人が処理水や放射線などに関する40前後の項目に回答した。

 香港が56.3%と最も高く、台湾52.7%、韓国49.7%、シンガポール45.3%と続き、日本はアジア諸国で最低だった。欧米各国は3割を下回った。国内での認知度が低い結果について、復興庁の担当者は「(計画に関する)情報が十分に届いていない」と説明、発信に一層努めるとしている。

 また国の基準を下回ったトリチウムを含む処理水に危険性がないことを知っているかについては、国内で「理解している」が25.7%だった。台湾(43.3%)やシンガポール(35.3%)、香港(33.0%)と比べて低く、英国(27.7%)も下回る結果となり、政府や東電が情報発信の強化に取り組むとした科学的な根拠に基づく安全性が浸透していないことが明らかとなった。

 調査結果について、西銘(にしめ)恒三郎復興相は「処理水の処分に関する知識の一層の浸透が求められている」と危機感を表明。26日に開いた省庁横断の幹部会合で国際原子力機関(IAEA)による処理水の安全性に関する評価を含め客観性のある情報の発信強化などを指示した。