復興進む道路、トンネル、橋...土木施設を観光資源に ルート構築へ

 

 県は本年度、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後に整備されるなどした道路やトンネル、橋などの公共土木施設の見学を組み込んだ観光旅行商品の開発に乗り出す。「インフラツーリズム」と銘打ち、既存の観光資源と組み合わせることで新たな需要の掘り起こしや観光交流人口の拡大を図る。

 県内では「ふくしま復興再生道路」として、避難指示の出た区域と周辺の主要都市を結ぶ国道114号などの「3桁国道」や一般県道の計8路線の整備が進められている。このほか震災と原発事故の記憶と教訓を伝える「原子力災害伝承館」などの伝承施設があり、奥会津地方では2011年7月の新潟・福島豪雨災害で流失した会津川口―只見駅間の橋などの復旧が進められている。県は、復興が進む「福島ならでは」の公共土木施設を観光面で活用して誘客につなげたい考え。

 ツアーでは公共土木施設が建設途上にある様子を見学できるようにすることも想定している。建設業界への興味、関心を引くことで減少傾向にある担い手の確保につなげる狙いもある。

 福島西部でモニターツアー計画

 本年度は、福島市西部でモニターツアーを実施する。同市には「復興五輪」として開催された東京五輪の野球・ソフトボール競技会場となったあづま球場や、土木遺産に選定されている荒川のえん堤などがある。こうした施設の見学に、新たに整備された「道の駅ふくしま」やフルーツラインなど地域の観光スポットを結び付け魅力的なルートを構築する。来年度以降は浜通りや会津地方での実施を計画しており、全県に取り組みを波及させる方針だ。

 県はモニターツアーの実施に向けて、プロポーザル方式で委託業者の選定を進めている。決定後、東日本高速道路(ネクスコ東日本)やJR東日本、自治体など公共土木管理者、旅行会社大手をオブザーバーとした協議会を設立する予定で、県内施設の観光地化に向けた情報共有を図る。

 また、インフラツーリズムの取り組みと並行して県内土木施設を一元的に紹介するポータルサイトを開設する。ダムや公園施設などを見学できる時間帯などの情報を提供し、ツアーの認知度向上と定着に向けた活動を展開する。県は「本県ならではのツアーにしたい。今でないと見ることができない現場を目にし、復興が進んでいる様子を感じてもらいたい」(まちづくり推進課)としている。