高齢化進む奥会津...「最期は自宅で」医師ら仕組み作りに意欲

 
患者宅を訪問して診療を行う鎌田医師(中央)ら。コロナ禍を背景に、在宅医療のニーズが高まっている(奥会津在宅医療センター提供)

 高齢化が顕著な奥会津地域で、患者宅を訪問して診療する「奥会津在宅医療センター」(三島町)が活動の幅を広げている。「最期は住み慣れた自宅で」と考える患者のみとりを担うケースも多い。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、病院や施設での面会が制限されていることも背景にニーズが高まっている。

 「ご飯食べてる? 元気?」。3月末、柳津町の民家の1室。奥会津在宅医療センターの鎌田一宏医師(39)が呼びかけた。ベッドに横になっていた佐藤英子さん(96)は笑顔を見せ「あ、かんかん先生」と医師のニックネームを口にした。

 佐藤さんは心臓の機能が弱まり1年以上寝たきりの状態が続く。鎌田医師はこの日、心音を聞くなど丁寧に診察を行った。佐藤さんの夫泉さん(96)も鎌田医師の往診を受けており、長男の晴男さん(70)は「2人を病院に連れて行くのは大変。先生に来てもらって大変助かっている」と語る。

 センターの活動は2020年7月、県の事業として始まった。福島医大会津医療センター(会津若松市)から派遣されている医師と看護師が、県立宮下病院(三島町)と連携して往診を行う。これまでに対応した患者は3月末時点で延べ130人を超え、徐々に利用者が増えている。

 センターの対象エリアは柳津、三島、金山、昭和の4町村で、65歳以上の割合を示す「高齢化率」は【表】の通り。4町村のうち三つが50%を超え、中でも金山町は60.9%で県内最高。エリア内の病院は県立宮下病院のみという医療過疎地域でもある。そのためセンターがみとりを担うケースは多く、開所から今年1月までの間に17人を在宅でみとった。

 4月4日午後、三島町の青木孝子さんが自宅で亡くなった。81歳。2月からセンターの在宅医療を受けていた。

 のみ込む力が衰え、食事も難しい状態で、最期は老衰で亡くなった。「もし病院や施設にいたら、新型コロナの影響で面会もできなかったかもしれない」。青木さんの長女鈴木礼(あや)さん(50)はそう話す。「鎌田先生や看護師さんは頻繁に訪ねてくれて、とても感謝している。母と自宅で一緒に過ごした最期の日々は、とても楽しかった」

 鎌田医師は「高齢化が進むにつれ、全国でこうした活動に対するニーズが高まるだろう。全国の医師が順番に在宅医療に取り組む仕組みが作れれば、地域は助かるし、医師にとっても腕を磨く良い機会になるはずだ」と提言。高齢化地域で求められる在宅医療の日本のモデルをつくりたいという強い意欲を口にした。