伝統技法「筒描」を復活 大堀相馬焼陶吉郎窯・近藤学さん

 
「大堀相馬焼の歴史をより深く知ってほしい」と話す近藤さん

 東京電力福島第1原発事故による避難に伴い浪江町からいわき市に拠点を移し、作陶に励む大堀相馬焼・陶吉郎窯の陶芸家近藤学さん(68)は、途絶えていた伝統技法「筒描(つつがき)」を復活させた。同市で開いている企画展で筒描を施した作品を展示している。近藤さんは「多くの人に大堀相馬焼の歴史をより深く知ってほしい」と話す。

 筒描とは、スポイト状の道具に泥状の絵具を入れて絞り出しながら文様を描く技法。300年以上の歴史を持つ大堀相馬焼で、江戸時代から明治時代にかけて用いられた。

 近藤さんが、一度は途絶えた筒描の復活を考えたのは「伝統をよみがえらせながら、新しいものを生み出したい」との思いからだ。大堀相馬焼は馬の絵柄や「青ひび」が特徴とされるが、これらは時代の変化とともに確立されてきた表現だという。イメージの固定化や需要の変化などから「令和の大堀相馬焼を提案したい」と感じ、過去の技法を現代の意匠にアレンジして作品に取り入れることを考えた。

 近藤さんは震災前から筒描の再現を模索していた。当時の道具は残っていないため、数少ない文献や筒描が施された作品を手がかりに試行錯誤を重ねた。絵具の粘り気の調整や筆とは異なる文様の描き方に苦労したが、知り合いの絵付け師の協力を得て完成にこぎ着けた。3月下旬に同市で4度目となる登り窯の火入れを行い、作品を焼き上げた。

 「今回が筒描再現の第一歩」。企画展には、筒描を用いた海を題材にした絵柄の小皿約10点や近藤さんの長男賢さん(41)の作品も含め約600点が並ぶ。近藤さんは「登り窯特有の味わいを見てほしい」とし、「これから筒描を新たな伝統技法として定着させていきたい」と意気込む。

220502news701-2.jpg筒描を用いて波の文様などを描いた作品

 3点セット購入者に事前予約で料理試食

 企画展は8日まで、いわき市の陶吉郎窯で開かれている。時間は午前10時~午後6時。3~5日の3日間には、登り窯作品3点セットの購入者を対象に事前予約制で、地元のシェフが手がけた料理を登り窯作品に盛り付けて試食できる企画も行う。問い合わせ、予約は陶吉郎窯ホームページへ。