古い空き家、安く改修し賃貸に 福島、東北初の「再生士」

 
(写真上)改修前の福島市仲間町の空き家。(写真下)改修後の空き家。「近隣住民から喜ばれた」と語る高橋さん

 投資家の資金を元手に古い空き家を低予算で改修し、賃貸住宅によみがえらせる―。行政の補助金に頼らない民間による空き家の再生事業が県北地方で本格的に始まった。全古協(ぜんこきょう)と呼ばれる一般社団法人の全国古家再生推進協議会(大阪府)が構築した仕組みを活用し、不動産として価値を生み出す。深刻化する空き家問題の解決に向けた切り札になるか。全国でも徐々に注目を集めている。

 「頭を抱えるほどひどい状態だった空き家が生まれ変わった」。約2カ月間の改修工事が4月末に完了した福島市仲間町(ちゅうげんちょう)の築50年を超える木造2階建て住宅。全古協の研修を受け、低予算で改修を担える「古家再生士」に東北地方で初めて認定されたリフォーム業リボーンアート(福島市)の社長の高橋成信さん(62)が物件を案内してくれた。

 年季を感じさせる外観とは裏腹に、建物内には清潔感のある空間が広がる。フローリングや壁紙は張り替えられ、キッチンやトイレは新品に。所々に古家の面影は残るが、生活する上で支障がない環境が整う。

 全古協の仕組みでは、オンライン講座を受けた関西や首都圏などの投資家が気に入った空き家を購入し、リフォーム資金を拠出。古家再生士が利活用できる部分を生かしつつ、工夫を凝らして改修費を抑える。

 ポイントは「家賃から逆算し、全体の予算を見積もること。コストが膨らみ、採算が取れない物件は改修しない」と高橋さん。福島市仲間町の物件はバスルームや窓などを新調せずに改修費を約400万円にとどめた。投資家は約120万円で物件を購入していて、出資額は合計で約520万円。家賃は月6万8000円の予定で、早ければ7年目から利益が出る計算だ。

 高橋さんは昨秋、県内第1号として伊達市保原町の古家も改修した。不動産業者から「この家には誰も住まないかもしれない」と指摘されたが、入居者の募集開始からわずか3日で子育て世帯の借り手が見つかった。需要はあるのに手頃な価格で利用できる戸建ての賃貸住宅が少ないことも背景にあったとみている。

 国が5年ごとに実施する住宅・土地統計調査によると、県内の空き家は2018(平成30)年時点で約12万4000戸に上り、13年から約3万2000戸も増加した。高橋さんは「空き家を改修したら、近隣住民からも喜ばれる。この仕組みは空き家の所有者、購入する投資家、リフォーム業者、入居者、地域社会にとってメリットがある」と強調する。

 一方、県内では事業の認知度が高まっていないなど課題もある。リボーンアートは県北地方を中心に投資家に提案する物件を探している。問い合わせは専務の高橋智大さん(電話080・5905・0232)へ。(鈴木健人)

          ◇

 全国古家再生推進協議会(全古協) 2014年設立。関西や首都圏を中心に全国7000人以上の会員がいて、オンライン講座を受けた数百人が投資家として空き家を購入できる。低予算で改修を担える「古家再生士」に地域のリフォーム業者など約30人を認定し、これまでに1500戸以上の再生を手がけている。

改修前後の室内とトイレ