福島市天然記念物「古舘の大ケヤキ」幹に亀裂 維持管理に多額費用

 
太い幹の分岐部分にある亀裂

 福島市指定天然記念物となっている同市飯坂町平野の「古舘の大ケヤキ」。推定樹齢は約350年で、約8.5メートルとされる幹の太さが見る人を圧倒する名木だが、管理する地元の古舘町内会は維持管理費の負担の大きさから「切るか残すか」に頭を悩ませている。

 大ケヤキは傍らに祭られている稲荷神社のご神木で、地域の宝とされてきた。地区の人々が保護のための協議決定書を作成し、明治・大正時代から現在まで保護してきたという。

 だが、大ケヤキの幹の分岐部分には亀裂があり、幹内部の空洞化も指摘されている。幹の太さに比例し、さまざまな方向に伸びた枝の重量も相当と考えられる。特に北側に45度の角度で長く伸びた枝は落下の不安が大きい。

 太い枝の落下を防ぐために先端を切断して重量を減らしたり、支柱で支えたり、ワイヤで枝同士を引っ張り合う手法も考えられるが、業者に依頼したところ460万円の見積もりが出た。古舘町内会は25戸で、一戸当たり20万円近くになる負担は非現実的だ。3月下旬に開いた町内会の臨時総会では、一部の伐採を提案。「親から切らないように言われて育ってきた」などの反対意見も出たが、最終的には伐採の了承を得たという。

 「了承は得たが、長年保護されてきた地域の宝を自分の代で切ってしまうのは心の重荷だ。残せる方策があるのであれば何とか残したい」。町内会長の安西義男さん(71)は苦しい胸の内を披露する。「何とか残せないか」という要望も受け、伐採は一時ストップしている状態で「切っても切らなくても後悔があっては困る。安全に残せる方策をもう少し探ってみたい」と助けを求めている。

稲荷神社の地図