「改正福島特措法」成立 国際研究機構設立が柱、復興再生へ

 

 福島国際研究教育機構の設立を柱とする福島復興再生特別措置法の改正案が20日、参院本会議で与野党の賛成多数により可決、成立した。

 機構は来年4月に設立予定。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故からの復興に向け、廃炉作業の推進を支えるロボットや先端的な創薬技術、水素エネルギーなど5分野で重点的に研究開発を進め産業競争力の強化を目指す。大学や高専と連携し、研究者の養成など人材育成にも取り組む。

 機構の立地選定を巡っては、県は8月に候補地を選定し、政府に提案。政府は県の意見を尊重し9月までに立地場所を決める。改正案の成立を受け、西銘恒三郎復興相は「機構が福島の復興と再生、世界の課題解決に貢献できるよう来年4月の設立に向け、しっかりと準備を進める。今後も現場主義を徹底し、被災地に寄り添いながら復興に全力で取り組む」とのメッセージを出した。

 成立受け知事「大きな一歩」

 改正福島復興再生特措法の成立を受け、内堀雅雄知事は、「福島国際研究教育機構の設立が新たに定められたことは、機構の長期的・安定的な運営確保につながり、復興のさらなる前進に向けた大きな一歩となる」とのコメントを発表した。機構が「世界に冠たる拠点」となるよう県としての役割を果たし、復興・再生を着実に進めるとの意向を示した。

 機構、立地場所に注目

 福島復興再生特措法の改正案が成立し、福島国際研究教育機構設立の法的根拠ができたことで、今後は設立準備の動きが加速する。

 来年4月に予定される機構の設立に向け、東京電力福島第1原発周辺の市町村が今、最も注目しているのが立地場所だ。政府は、将来的に機構が取り組む研究に国内外の研究者数百人の参画を目指す方針を示している。住民の避難などで居住者の減少や高齢化に直面している被災地では「研究者とその家族の居住や交流人口の増加が見込まれ、にぎわい再生に向けて即効性のある起爆剤となる」と期待が高まっている。

 県は4月、機構の本施設と仮事務所の立地場所の選定作業に着手し、原発事故で避難指示が出るなどした12市町村に立地場所の提案を依頼、9市町が本施設の誘致に名乗りを上げた。

 被災地の期待を一身に背負う機構だが、立地選定を巡っては地域の分断を招くとの懸念も根強い。これまでも県への正式な候補地提案を前に、水面下で県側に立地を働きかける自治体もあり「政府、県ともに避けたかった誘致合戦が過熱した」(政府関係者)時期もあった。ある自治体の関係者は「どの自治体に立地が決まっても、選ばれなかった地域に不満はくすぶるだろう」との見解を示した。

 県の提案を踏まえ、政府は9月までに立地場所を決める。政府には立地場所に選ばれなかった地域についても機構設立の効果を波及させる取り組みが求められる。その実現に向けては、新産業や雇用の創出など地域振興につながる研究テーマを打ち出せるかどうかが鍵を握る。国会審議の過程では、政府が機構の基本構想に掲げた五つの重点研究分野について「既存の研究機関の取り組みとほぼ同じで目新しさがない」との批判の声も上がった。

 政府は今夏をめどに具体的な研究内容などを定める基本計画を策定する。計画には被災地の首長らとの協議や知事の意見を反映させる方針だ。地元にも住民が向き合う課題や地域の実情を的確に捉えた提案力が問われる。