「伝統野菜」広めたい 生産者ら活動、天候不順に強く価格安定

 
「伝統野菜の魅力を伝えたい」と語る相良さん

 天候不順などで野菜の価格が高騰する中、自然環境に左右されずに育てられる伝統野菜を広めようと、県内の生産者らが活動している。伝統野菜は、安定した価格と生産量が見込めるのが特徴の一つ。県内でも60種類以上が栽培され、地域の特産として根付いている。一方で、消費者の認知度や担い手不足などが課題となっている。

 「店に並ぶ商品を通して、伝統野菜の魅力を伝えたい」。白河市北堀切の八百屋「ゼロファーム」を経営する相良朋洋さん(42)は力を込める。昨年6月のオープン以来、新鮮な地元の野菜とともに、全国各地の旬な伝統野菜もそろえてきた。伝統野菜は味の良さから都内の高級料亭で使われることもあり「一般的な野菜に比べて味が濃いものが多く、ブランドとして価値付けもできる」という。

 農林水産省の食品価格動向調査によると、4月中旬の野菜価格は、近年の曇天や長雨の影響による生育不良などでタマネギやジャガイモの価格が例年より2~9割高騰している。野菜の価格は天候に左右されやすいが、相良さんは「(その土地に適した)伝統野菜を普及させることで、価格変動を減らすことができるのではないか」と話す。

 生産者も同様の考え方を示す。会津若松市の農業長谷川純一さん(52)によると、現在流通している野菜の種子は多くが南半球で生産されたもの。「世界情勢の変化で種子の輸入が止まってしまえば、日本で野菜が生産できなくなる可能性もある」といい「収穫した野菜から種子を採取する伝統野菜は生命力があって育てやすい」と評価する。

 長谷川さんが栽培している伝統野菜は、一般的なキュウリより太く、肉厚で柔らかい「余蒔(よまき)きゅうり」など7種類。育てやすい一方、認知度が低く、一般的な野菜と形や色が違うため、消費者の手に取ってもらいにくいという。収穫量の少なさなどもあり、担い手が増えないことも課題に挙げる。

 こうした課題を打破しようと、長谷川さんは生産者らでつくる「人と種をつなぐ会津伝統野菜」の会長を務め、伝統野菜の普及を推進。地元の子どもたちに伝統野菜を知ってもらおうと、学校給食で伝統野菜を提供したり、中学校で伝統野菜の栽培体験などを行ったりしている。長谷川さんは「伝統野菜は地元の魅力を感じることができる食材でもある。伝統野菜の種子を後世に伝える重要性を消費者に理解してもらい、これからも日本の宝物として継承されてほしい」と願っている。