日産と東大、浪江に「地域デザインセンター」 5月28日開所

日産自動車と東京大は28日、浪江町に地域づくりの活動拠点となる「浜通り地域デザインセンターなみえ」を開所する。産学官が連携してカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現や新しい交通システムの研究、人材育成に取り組む。27日、現地で式典を行った。
日産が地域づくりの拠点施設を設けるのは全国で初めて。センター長に東大大学院工学系研究科社会基盤学専攻の羽藤英二教授が就いた。住民の地域活動やなみえ創成小中生の学習の場として開放するほか、町や双葉郡の地域づくりに関する定期的なワークショップも開くなど、地域の課題解決や古里創造を進める場所として活用する。
式典では同小中の児童生徒を対象にしたワークショップも開かれ、子どもたちが「少し未来の浪江の魅力」について考えた。
交通や教育分野で協働
日産自動車と東京大が浪江町に28日開所する「浜通り地域デザインセンターなみえ」。東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされた町で、交通や教育などそれぞれの立場で復興再生に取り組んできた両者が協働で調査・研究活動を展開し、新しい地域を住民と一緒につくっていく。
センターはJR浪江駅の東側約200メートルのアパートの1階にあり、広さは約150平方メートル。内装は浪江や本県産の木材を活用した温かいデザインで、住民が交流しやすい空間を設けた。電気自動車(EV)の充電ができる駐車場があり、EVからセンターに給電する機能も備え、災害時に避難所として活用できる。
主な活動として、地域活動の場の提供・支援や防災、地理に関する知識習得などを行う「なみえ創成小中防災地理部」、双葉郡で地域モビリティーを活用した観光を行う「ふたばまちづくりデザインウイーク」のほか、浜通りの生活利便性向上に向けた調査やまちづくりの専門家を配置して住民活動の相談を受ける「地域不定期外来」などに取り組む。27日の開所式典では、東大大学院工学系研究科社会基盤学専攻教授の羽藤英二センター長、日産の土井三浩常務執行役員・総合研究所長、吉田数博町長らがあいさつし、テープカットした。なみえ創成小中の児童生徒らが町の魅力について考えるワークショップなども行われた。
羽藤教授は「地域住民がどんなことに困っているのか、どんなふうに楽しく生きたいか。気軽に一緒に考えられるような場所にしたい」と話した。町内で効率的な配車サービスなどについて実証を進める日産の土井氏は、自動車メーカーが地域づくりに関わる意義について「誰と会い、どこに行くという目的があるから人は動く。それが町の活性化につながる」と述べた。
センターの場所は浪江町権現堂上続町11の3。開設時間は午前10時~午後5時で、不定休。日産と東大の関係者が常駐する。
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