大熊町「蔵書役立てて」 避難受け入れ恩返し、図書館解体前に譲渡

 
解体が予定される大熊町図書館で行われている図書の無償譲渡の様子。多くの町民らが本を選んでいた

 大熊町は、特定復興再生拠点区域(復興拠点)整備の一環で、同下野上の町図書館を解体する。同館は約13万点の蔵書を誇っていたが、東京電力福島第1原発事故で閉館を余儀なくされた。町は解体を前に「事故では他の自治体に避難を受け入れてもらった。大熊の本を役立ててほしい」と30日まで、個人向けの図書の無償譲渡(リサイクル)を行っている。28日、内部と譲渡の状況を報道陣に公開した。

 同館は、民俗伝承館を併設し1996(平成8)年に開館した。2011年の東日本大震災では激しい揺れで約8割の図書などが棚から落ち、原発事故の全町避難でそのまま閉鎖された。その後、民俗伝承館の資料は県文化財センター白河館「まほろん」に移送され、図書は15年にボランティアの手で棚に戻されていた。

 今回、無償譲渡しているのは、大川原地区に整備する新たな教育施設に移す資料などを除く図書約5万点。このうち双葉郡内の公共施設などには先行して希望する図書を譲渡した。残る図書は、1人50冊を上限に譲り渡している。

 28日午前には町民らが集まり、絵本や実用書、文庫本など関心のある本を選んでいた。大熊町からいわき市に避難し、同市内の保育施設に勤務する加藤優美さん(27)は「選んだ本を自分の勤務先の子どもに読んであげたい」と、絵本などを手に取っていた。

 リサイクル向け開放は午前10時~正午、午後1時30分~午後3時30分の2回に分けて実施する。先着50人で、事前申し込みが必要。29日は、現地で50人を上限に受け付ける。問い合わせは町教育総務課(電話0240・23・7194)へ。

 建物保存へ署名活動

 大熊町図書館を巡っては、建物の保存を求める署名活動も行われている。同教委によると、手書きの署名が約600通、ウェブ上は7175通寄せられているという。解体後には、住宅地が整備される予定。