「古殿の山」...貸します 購入前に管理体験、キャンプや遊びに

 
貸し出される山林の付近でキャンプを楽しむ人ら。借り手は土地を自由に使うことができる=古殿町

 新型コロナウイルス禍で、キャンプなどアウトドアブームが高まる中、水野林業(古殿町)は町内にある山林の一部を貸し出す「山林レンタル」を始めた。山林の購入を検討している人に、活用や管理の方法を体験してもらうのが狙いだ。山林レンタルが広まることで、荒れた山の整備が進むことも期待する。社長の水野広人さん(35)は「山の中のプライベートな空間を楽しんでもらえれば。山と人の距離を近づけたい」と話す。

 事業の第一歩として、約10アールの山林2カ所を貸し出す。1年契約で、料金は立地条件によってそれぞれ10万円と6万円。借り手は、木を伐採するなど環境を大きく変える行為を除いて自由に使うことができる。水野林業はキャンプを中心に、子どもの遊び場、森林セラピーの場などへの需要を見込んでいる。

 アウトドアブームで山林の購入を検討している人が増えているといい「購入を考える人にとって最大の課題は手入れ。借りて試してもらえれば」と水野さん。今後は需要の動向を見ながら、貸し出す場所を増やす考え。さらに、町内で山林の貸し出し希望者を募り、仲介することも視野に入れている。

 林業一家3代目の水野さんは岐阜県で山林レンタルの先進例があることを知り、事業化に乗り出した。「これまで、山の価値は木材を生産できることだった。山という空間自体にも価値があり、ビジネスになるという考えを広めたい」と意義を説明する。水野さんは以前から、山や林業に関心を持ってもらうため木工品の製作販売や、山での企画開発に取り組んできた。背景には、山林の価格が低く、木材の価格が不安定であることなどから「山や木に価値がなくなっている」という危機感がある。山林の価値が下がることによって、手入れがされず荒れ続ければ、木がうまく成長しなくなるという。そうなれば良質な木材を生産できなくなるほか、土砂崩れなど自然災害が起きる危険性もある。

 水野さんは「山林レンタルが広まることで、山を所有する人が『貸せるなら手入れをしてみよう』と思い立つのでは」とも期待。「山っていいなと感じてもらいたい」と意気込んでいる。レンタルに関する問い合わせは同社のインスタグラムアカウントへのダイレクトメッセージで。