復興拠点外、早急に方向性 西銘復興相、除染や家屋解体課題に

 

 西銘(にしめ)恒三郎復興相は29日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域の避難指示解除を巡り、「今後の進め方についても相談を始めている」と述べ、現段階で決まっていない方向性を早急に検討する考えを示した。住民の意向調査や除染の方法、帰還意向のない住民の土地・家屋の取り扱いなどが主要なテーマとなる見通し。

 大熊町で開いた復興庁と県、原発事故で避難指示が出るなどした12市町村の首長が意見交換する「福島12市町村の復興・再生に関する懇談会」で示した。拠点外の地域を巡って政府は昨夏、2020年代に帰還の意向に応じて必要な箇所を除染し、避難指示を解除する方針を示した。しかし具体的な取り組みについては不透明で、これまでも現場から不満の声が上がっていた。

 懇談会でも、帰還困難区域を抱える市町村の首長から未除染の土地・建物が残る可能性がある政府方針に苦言が相次いだ。富岡町の山本育男町長は、原発事故から11年が経過した現状を踏まえ「(拠点外の)住宅は荒廃しており、風雨などで崩れて二次災害が起きる可能性がある。早めの解体が必要だ」と、家屋解体の必要性を指摘した。

 大熊町の吉田淳町長は、方針が決まっていない拠点外の除染について「拠点外は比較的放射線量が高いことが想定される。今の段階から試験的な除染を進めておくことが重要ではないか」とし、意向調査後に除染を実施するのではなく、先行し少しずつでも除染を実現していくことが必要との認識を示した。

 双葉町の伊沢史朗町長は、町内の大部分が帰還困難区域となっていることを指摘しながら、政府の考え方は部分的な解除に過ぎないと訴えた。その上で「希望する町民が全員帰還できるように必要な制度設計、予算編成を行ってほしい」とくぎを刺した。鈴木正晃副知事も席上、帰還意向がない人の家屋の取り扱いなど、まだ具体的に決まっていない部分について早急に方針を決めるよう求めた。

 このほか、帰還困難区域を巡っては、門馬和夫南相馬市長、篠木弘葛尾村長、杉岡誠飯舘村長、佐藤良樹浪江町副町長もそれぞれの現状や意見などを述べた。

 西銘氏は、政府方針にのっとって避難指示解除を進めていく考えを改めて示した上で「各自治体の課題や要望を丁寧に聞きながら、避難指示解除に向けた取り組みをしっかりと前に進めていきたい」と述べた。

 移住・定住の支援策急務

 大熊町で29日に開かれた「福島12市町村の復興・再生に関する懇談会」では、参加した首長から国や県に、交流人口の拡大につながる移住・定住対策への支援を求める声が相次いだ。県を代表して出席した鈴木正晃副知事は会合後の取材に「地域の活力という観点から帰還だけではなかなか難しい面がある。国、県と連携して具体的な方策をやっていこうと話し合った」と述べ、重点的に支援策を講じていく考えを示した。

 懇談会は、復興庁と県の共同開催。12市町村が抱える課題を国、県と各市町村の首長が会して協議する場として初めて開いた。国と県はこれまでも12市町村の将来像に関する有識者検討会などを開いてきたが、近年は各首長が一堂に会する協議の場がなかった。移住・定住についての指摘は、全体討議の中で行われた。

 移住・定住対策を巡っては、県が富岡町の県富岡合同庁舎内に設置した「ふくしま12市町村移住支援センター」が、司令塔の機能を担っている。ただ、関係者によると、懇談会では市町村が独自に取り組む施策を担うマンパワーそのものがないという指摘が相次いだという。

 このため、支援策は人的なサポートに加え、移住者が住みやすい住居の確保や既存住宅のリフォーム、家賃補助などが柱となる見通しだ。西銘(にしめ)恒三郎復興相も会合後「移住定住の促進、営農再開や産業なりわいの創出、まちづくりや生活環境の整備などに意見があった。意見をしっかり受け止めて福島の復興再生に向けて取り組みたい」と述べた。