東京電力に7350万円賠償命令 都路住民訴訟、国の責任認めず

 
地裁郡山支部前で旗を掲げる原告(左)と原告団の弁護士=2日午後2時20分ごろ

 東京電力福島第1原発事故に伴い、旧緊急時避難準備区域に指定されていた田村市都路地区の住民525人が東電と国に約60億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、地裁郡山支部の本村洋平裁判長は2日、慰謝料として約12億円を認定。東電に対し、既に支払った金額を差し引いた計約7350万円を原告383人に支払うよう命じた。一方、国への請求については棄却した。原告側は控訴する方針。

 本村裁判長は判決理由で、国が2002(平成14)年に公表した地震予測「長期評価」について、精度が低かったなどとして信用性を否定し、国の予見可能性を認めなかった。さらに「国の命令によって東電が対策を講じていたとしても原発事故を回避することができたとは言えない」として、国の責任を否定した。

 東電の責任については「平穏な日常生活を奪った」などとし、慰謝料として1人当たり200万円を認定した。ただ、既に200万円を超える慰謝料が支払われているとして、142人には上乗せを認めなかった。

 国と東電を被告とする同種の集団訴訟では19件目の地裁判決で、国の責任を否定したのは10件目。国の責任については最高裁が17日、統一判断を示す見通し。

 田村市都路地区の賠償を巡っては、第1原発から20キロ圏内の旧避難指示区域の住民には、1人当たり月額10万円の慰謝料が18年3月まで支払われた。一方、原告ら20~30キロ圏の旧緊急時避難準備区域の住民に対しては12年8月で打ち切られた。

 判決後に開かれた記者会見で、原告側弁護団は「(賠償額の差によって)地域が分断されたり、自給自足の生活が奪われたりした都路の特性が考慮されていない判決だ」と指摘した。原告団の今泉信行団長(74)は「約8年間裁判をやってきて、国の責任が認められず残念。私たちは最後まで闘う」と控訴への意欲を示した。

 原子力規制庁は「新規制基準への適合性審査を厳格に進め、適切に規制していきたい」、東電は「判決内容を精査し、対応を検討する」とコメントした。