農業試験場跡地、福島県が年度内売却へ 総合南東北病院前向き

 

 郡山市や市医師会などが、医療機器関連産業を集積する「メディカルヒルズ郡山基本構想」の実現に向け、県に売却を求めていた同市富田町の県農業試験場跡地を巡り、県は本年度中に跡地を含む約15ヘクタールを売却する方針を決めた。医療機器産業を集積する能力や構想実現の意欲の有無などの土地利用条件を設定した上で、7月上旬にも一般競争入札を公告し、構想実現を後押しする。

 跡地を巡っては、県や国などの公用・公共利用に向けた計画がない。このため県は、有効活用を推進するため入札による売却方針を決め、県公有財産審議会が了承した。

 跡地はJR郡山駅から3キロ圏内にあり、市街化を抑制する市街化調整区域となっている。郡山市によると、土地購入者が跡地を開発する場合、土地の利用方法などを定める地区計画を策定する必要がある。市は提出された地区計画を都市計画審議会に諮り、了承されれば開発着手となる。

 現病院の老朽化に伴い、2024年4月をめどに新築移転する方針の総合南東北病院は、跡地を候補地として検討している。担当者は福島民友新聞社の取材に「跡地への新築移転を実現し、地域に貢献したい」として土地の取得に前向きな姿勢を示した。市担当者は「郡山市は県の中心部に位置しているので、全県的な医療機器関連産業の集積や健康増進に向け、メディカルヒルズ郡山基本構想を踏まえた土地利用を期待したい」と述べた。

 跡地はJR郡山富田駅近くにある。ふくしま医療機器開発支援センターを囲む形で敷地が広がっており、広さは同市日和田町の商業施設「ショッピングモールフェスタ」と同程度という。県によると、15ヘクタールに及ぶ広大な敷地を売却処分するのは珍しい。不動産鑑定上、土地の価格は約32億9321万円に上る。

 旧農業試験場は06年に廃止された。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、避難者を受け入れる仮設住宅が設置されたが、昨年度までにほぼ撤去された。敷地の一角には県中児童相談所の建設が予定されている。