東京電力、原告に直接謝罪 避難者集団訴訟、判決確定後初めて

 
原告らに謝罪する高原代表(左)と内田副代表

 東京電力福島第1原発事故で避難した南相馬市などの住民が東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、国の指針を上回る賠償を命じた判決が確定したことを受け、東電は5日、双葉町で原告らと面会し「事故でかけがえのない生活やふるさとに大きな損害を与え、心身ともに取り返しのつかない被害を及ぼした。誠に申し訳ございません」と謝罪した。判決確定後、東電が原告に直接謝罪したのは初めて。

 高原一嘉福島復興本社代表が小早川智明社長名の謝罪文を代読した。「避難指示により、状況も不透明な中で緊急的に避難したことや避難先の生活で苦労や不安を与えた。事故の当事者として責任を痛切に感じている」とした上で「事故を防げなかったことを深く反省している。引き続き、帰還と復興に向けた活動を進めていく」などと述べた。内田正明福島復興本社副代表が同席した。

 その後に原告側が記者会見し、早川篤雄原告団長は「(事故責任の証明に向け)一歩前進した」と前向きに受け止めた一方「国の責任が認められない限り、今の悲しみは消えない」と複雑な心境を述べた。福島原発被害弁護団の米倉勉幹事長は「十分な謝罪内容ではない」としつつも「被害者にとって加害企業の真摯(しんし)な謝罪は重大な意味を持つ」と評価し「原告以外の住民にも判決と同じ水準の賠償が支払われるべきだ」と見解を述べた。弁護団は今後、東電に対し、被害者への医療支援や被害地域の除染作業の継続などを求める予定。

 2020年3月の仙台高裁の判決では、第1原発から半径20キロ圏の原告に対して250万円、20~30キロ圏内の原告に120万円のふるさと喪失慰謝料などを認定。東電に対し、原告213人に総額7億3000万円の賠償支払いを命じた。今年3月の最高裁決定により東電の賠償責任が確定した。